ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 まさか彼も紀香を好きに? あのときあれだけ否定したのに? そんなわけないよね?
 それだけは嫌だ。ほかの誰が彼と結ばれるのだとしても、紀香だけは。
 そんな負の感情が湧いて、耀理はぐっとスマホを握りしめる。
 自分にそんな醜い感情があることを認めたくなかった。

 耀理の新たなアカウントには『弁護士に相談しては』とか『スクショを撮って証拠を』とか、アドバイスが並んでいる。
 だけど、弁護士に頼んでも思いのほか時間がかかる、となにかで見た覚えがある。

 それよりも。
 耀理はスマホの画面を見つめる。

 犯人がわかっているのだから、本人に会ってやめさせたほうが早い。
 彼女の家は知っているし、幸いにも明日は仕事が休みだ。
 電話は拒否されているから、彼女が仕事を終えて帰ったころに訪問し、交渉しよう。



 翌日は落ち着かない気持ちで過ごし、夕方になると家を出た。
 紀香は地元の企業の事務で、定時には仕事を終えているのを知っている。
 自宅である一軒家を訪問すると、紀香の母親がにこにこと出迎えてくれた。

「いらっしゃい、久しぶりね。紀香は部屋にいるからどうぞ」
「ありがとうございます。お邪魔します」
 礼を言い、靴を脱いであがる。母親はまだ紀香と自分が親友のままだと思っているらしい。
 とんとんとん、と階段を上がって彼女の部屋に行くと、ドアをノックした。

「なによ」
 ドアを開けた紀香は、そこにいたのが耀理だったので嫌悪に顔をしかめた。
 その隙に耀理はさっと彼女の部屋に入る。
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