ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
10 本当は



 史弥はまず、月見猫千夜のアカウントで彼と天乃河静火が同一人物であることを発表した。特に隠してはいなかったこと、純文学もエンタメも同じく愛しているとも書き添えた。
 その後、婚約者のアカウントが不正な手段により乗っ取られて悪用され、あげくに削除されたと告げる。

 耀理は最初、それを見て慌てた。名前を伏せられているし、もう読書猫のアカウントはない。が、それでも自分を指して婚約者と言われてしまった。
 気付いた耀理はすぐにメッセージで文句を送った。連絡先は彼の部屋におしかけた日に交換している。

『まだ婚約していないのに』
 それどころか、まだつきあうとも言っていない。
『だけどそう発表しないと俺が介入する権利がなくなるから。俺に任せて』
 ごり押しされて、耀理はとりあえず引いた。どさくさにまぎれて外堀を埋められた気がしないでもないが、守ろうとしてくれているのは確かだ。

 さらに史弥はアカウントで言う。
『犯人は判明しており、訴える準備をしている。心当たりのある人は、被害者に連絡をとり、謝ること。本人に連絡が取れない場合はこちらにDMを送ってくること。謝罪があれば被害者は訴訟はやめると言っている。寛大な処置に感謝するべきだ。猶予は一週間』

 アカウントでのこの発言はファンをざわつかせた。
 この日から、彼はカウントダウンを始める。
< 96 / 121 >

この作品をシェア

pagetop