愛が重いNo.1ホストに追われています。
もう、まっっったくこのヒトの思考は理解できないが、このヒトには嫌われていないということはよく分かる。
俺に対する口調は優しいし、先輩としても甘い。ホストの世界じゃ喰って喰われて、突き落とされて突き落とし返して、の繰り返しだ。いくら命があっても足りない。
だから、野口さんが益々分からない。
「……野口さんって、めちゃいい先輩すよね。」
「まあねえ。僕も自分でいい先輩だと思ってるよ?」
「てゆーか、なんで成世サンにはあんなに当たりキツイんすか。」
「あれ?もしかして七三倉くん、気になっちゃう感じ??」
「ええ。夜も眠れないほど気になっちゃってます。」
「超棒読みw」
道化役の上手い男が、タバコを吸い、休息のひとときを得る時にだけみせる憂いの顔。意味深すぎて、気温25℃でも底冷えしそう。
前に飲みの席で、今まで付き合った女の話になったことがある。西條さんがクズみたいな付き合い方に花を咲かせる中、野口さんにはわかり易く話題を切り替えられ、はぐらかされた。
元カノが元取引先にいるなんて、はぐらかすほどの話でもないと思うんだけど。でもきっと野口さんにとってははぐらかしたい過去。
営業なんてのは、自分を思う存分造り変えていかなければ数字が取れない世界だ。ホストよりはマシ。でもホストも営業も根底はおんなじ。
精神保つには、気の知れた同期や後輩がいなきゃやってらんないのは分かる。けど、アレはハラスメント云々よりも家族とかに近い接し方じゃなかろうか。
「成世ってさ、男だったら超イケメンじゃない?」
「……はい?」
「知ってる?成世の教育係ってマリア先輩だったんだけど、外回りの営業は僕に同行させることが多かったんだよ。」
「そうなんすね。」
「僕が何も指示してなくても、勝手に先方の情報勉強しててさ。営業なんて今や成績よりも活動量が重視される時代だし、外回りでサボれる時間あるし、適当にやっときゃいいって思ってたんだけど。成世は本気なんだよね。」
「……はあ。」
「だから成世と比べると、僕のミスとかやる気の無さが露呈しちゃって。情けないけど、成世に泣き言言ったことあったんだよ。」
「…………」
「そしたらさ、あいつ、ジョッキ片手に無表情で言いやがったんだわ。」
『私の前で泣くよりも、私に八つ当たりしてストレス発散してる方が野口さんらしくて好きです。』って
「………(告白かよ。)」