愛が重いNo.1ホストに追われています。

俺の心の声が漏れたのか、野口さんが顔を緩ませ言った。


「もうほぼ告白やん?キュンときちゃってさあ。抱かれたい成世No.1だよね」

「…………ほん。」

「もう仕事では成世がいないとやってけないんだわ僕。精神安定剤?いやドーピング??」  

「(めちゃめちゃ依存してるな。)」  


成世と野口さんの関係性は、意見が食い違う兄弟のやり取りをみている感じだと思っていたが、どうやら野口さんにとって成世は、ニコチンのような存在らしい。
  

肺に呑み込む煙が多かったかもしれない。肺から逆流してきた煙に小さく咳き込んで。また肺に押し戻すように煙を注入した。


「でもまあ、女としてはみれないけどね」


カラカラと笑う野口さんが、片腕を組んでタバコの肺を灰皿に落とした。このヒト、けっこう短くなるまで吸うタイプだ。タバコの短い部分て不味くない?


「あ、でもちょっとだけかわいいとこもあるっちゃあるかな」

「(どっちだよ。)へえ?」

「努力しまくってる癖に、今まで1位を獲ってきた秘訣は、お婆ちゃんの形見のお陰だって言ってるし」      
   
「…………」

「成世のお婆ちゃん、時代にそぐわないキャリアウーマンだったらしくてね。その時使ってた名刺入れを今成世が使ってるんだってさ」

「はー。そっすか。」

「お守り?いやジンクスみたいなやつかな」 

   
はいはいはい、なるほどね。成世一族超最強ってことがよおく分かったわ。



それを今、野口さんから与えられた情報で理解できたのが気に食わない。できれば、他の誰でもない本人から聞いて理解したかった。


つまり、本人から聞き出せない俺って“どうでもいい男”止まりってことなんじゃね。なにそれホスト失格じゃん。


タバコを吸い終えた野口さんが、俺の肩を叩いてニンマリと不敵に笑ってみせた。このヒト意外と可愛い顔してるから余計に俺のひんしゅくを買う。


「成世ね、今幼馴染に恋してるらしいから」


2回肩を叩いた手が、アデューの手の形を作った。昭和臭さが否めない。


「七三倉くんにお邪魔虫役を任せるわw」

「え?俺に当て馬になれってことです?」

「敵を殺す時は殺せ!七三倉ヴァン!あばよ!」


誰だよ野口英明を雇った人事。 


一気に煙を吐いて、煙で野口さんの残像を消してやる。いい先輩?なんなら今のは忠告とも牽制とも受け取れるんですけど。


そう思えちゃうのは俺の性格が曲がってるせい?単なる俺へのエールだとしたら俺が悪者か。 
  

今俺の心を代弁する折れ線グラフが、緩やかな山の字を作って心拍数を加速させる。ふう。実にもやり。


すっっげえな成世秋奈。初セックスと恋愛はベツモノ思考?野口以上に理解できん。







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