腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「綾香…。お前もずっと忘れてなかったってことなのか?」

「忘れるわけないじゃん。あんな人生最悪な日を…」

傷つけられた方もそうだが、傷つけた方も決して忘れられない。それはきっと心にもない言葉を言ってしまったからであろう。
私だって綾香さんと同じ立場だったらきっと忘れられないと思う。だって好きな人を傷つけてしまった罪は絶対に消えないから。

「まぁ、彼氏の家に行ってBL本置いてあったら最悪な日にもなるよな」

まさか美咲くんが自ら進んで自虐ネタを披露するなんて思わなかった。
これも美咲くんなりの優しさだ。綾香さんが覚えていてくれたから、美咲くんも少しだけ綾香さんに心を開こうとしたのかもしれない。

「ううん。それは違う。私が美咲に対して酷い言葉を言ったからだよ。BLに罪はないし、美咲がBL本を所持していたことにも罪はない。私が美咲の好きなものを否定する言葉を言ったのがいけないの…。だから、ごめんなさい」

彼女の言う通り、BLに罪はない。
でも、私はその言葉を言った彼女が完全な悪には思えなかった。

「言われた側はずっと心の中で消えないんだ。でも、ずっと引きずってるほど、俺は女々しくない。それにお前にされたこと以上にもっと酷いことをされたこともあるから、今更お前を責める気にもなれない。だから、お前が話したいことを話してくれ。何か事情があるんだろ?」

綾香さんの目から一筋の涙が零れ落ちた。今まで我慢して閉じ込めていた想いが溢れ出たみたいだ。

「ありがとう…。今からちゃんと話します。まだお肉は運ばれてきていないから、運ばれるまでの間になるべく簡潔に話すね」

綾香さんはゆっくりと昔話をし始めた…。
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