腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「…ねぇ、そろそろ敬語は止めて、呼び捨てとかにしない?なんだか堅苦しいし」

顔を赤らめながら、私にそう伝えてきた綾香さん。
どうやら、私がずっと敬語で話していたのを気にしていたみたいだ。
美咲くんと喋る時だけ私はタメ口で、綾香さんに対してはまだどこか距離を感じていたため、敢えて敬語で喋っていた。
いつかもっと仲良くなれたらタメ口で…と思っていた。
まさか綾香さんの方から提案してくれるなんて思わなかったので、とても嬉しかった。

「分かった。敬語はもう止める。これでいいよね?…綾香」

初めて呼び捨てで名前を呼んだ。なんだか改まると照れくさくて、こちらまで恥ずかしくなってしまった。

「…うん。それでいいよ、茜」

もっと綾香とも距離が縮まったような気がして、ニヤケてしまった。

「どうしてニヤけてるのよ。こっちは恥ずかしいんだからね」

「人聞きが悪いな。私だって恥ずかしいよ…。
でも、同時に嬉しくもあるんだ」

「どうしてよ?」

「綾香と距離が縮まったからに決まってるじゃん」

「…はぁ。あんたって天然タラシね」

どうして私が天然タラシなの?普通のことを言っただけなのに…。

「天然タラシ?どういうこと?」

「少しは自分で考えてみなさい。
…話の途中でごめんね。もう順番が回ってきたから、お先に注文させてもらうわね」

どういう意味だろうか。何か気に障ることでも言ったのだろうか。

「あ、うん。行ってらっしゃい」

私はよく分からないまま、自分の順番が回ってきたので、この事は一旦、忘れて注文することにした。
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