腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「話変わるけどさ、茜ちゃんって何がきっかけで腐ったの?」

さすが美咲くん。ナイスパスだ。
せっかく腐った者同士が集まったのだから、こういった話をして親睦を深めようではないか。

「私は某少年漫画がきっかけかな。
いがみ合いながらも、結局、二人は仲良しで。この二人ってもしかして…付き合ってるんじゃない?って思ったら、妄想が止まらなくなって」

ちなみに某少年漫画とは、同世代の間で大流行した『俺の(おれ)剣は(つるぎ)魂と(たましい)共に(とも)…』こと通称、剣魂(けんたま)のことである。
剣魂を知らない人間はいない。それくらい人気の漫画だった。
今は本誌で連載が終了し、無事に最終回を迎えた。
剣魂は私にとって青春だ。今でも大好きで、時々漫画を読み返したりしている。

「すげー分かる。俺もそれがきっかけだった……」

まさに今、魂の友(ソウルメイト)が目の前にいることに、私はとても感動している。

「ちなみに美咲くんの推しカプは?」

推しカプとは、腐女子または腐男子が好みのタイプ同士を勝手にカップルにさせて、脳内で妄想することである。
もし、これで逆カプだった場合、戦争が起こり、友情は破滅する。
私達の今後において、お互いの推しカプを知っておくことは、かなり重要なことであり、死活問題である。

有×蓮(あり×はす)かな」

有×蓮とは、登場人物の名前の一部を文字って略し、腐女子の間でしか分からないようにする隠語である。
ちなみに有の方は“有栖川 拓斗(ありすがわ たくと)”で、蓮の方は“蓮見 廉司(はすみ れんじ)”という。

私は心の中で安心していた。実は私も……。

「よかった。実は私も一緒なの」

「マジで?!俺、こんなにも身近に同士がいて感動してる。すげー嬉しい」

それは私も同じ気持ちだ。今まで漫画やアニメが好きな子なら身近に居たりもしたが、さすがに推しカプについて語れることはなかった。
なので今、こうしてようやく推しカプについて語れることに喜びを感じていた。
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