腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした


           *


私はずっと先輩が羨ましかった。
見て見ぬふりを続けたかった。自分に才能がないことなんて…。
初めて誰かに胸の内を話すため、少し緊張している。
美咲くんだから話せるなんて大見得切ってしまったが、本当は嫌われないかどうか不安な自分もいる。
そんなことで美咲くんは嫌わないなんて分かってはいても、先輩のことを好きな美咲くんに、先輩のことを悪く言う自分を見られたくない気持ちが強かった。

「ねぇ、美咲くん。身近に凄い才能を持った人っていた?」

いきなりこんな質問をされても、美咲くんを困らせてしまうだけなのは分かっている。
それでも、確認しておきたかった。もし、いたとしたら今から話しやすくなるからである。

「うーん…どうだろう?いたかな?多分、いたとは思う。でも、俺に才能がないから、その人のことを覚えていないだけだと思う」

大抵の人はそうだ。一々、人のことなんて覚えてはいない。
しかし、自分が欲しいと思う才能を持っている人がいたら、話は別だ。

「私はね、いたよ。それが先輩なの」

美咲くんは一瞬、驚いた表情を浮かべた。
そして、すぐに私と向き合ってくれた。
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