腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「ごめんね、美咲くん。自分のことしか見えてなくて…」

「いや、俺の方こそごめん。男の俺が腑甲斐ないばかりに、彼女に言わせてしまって…」

そんなことはない。美咲くんにばかり任せて、自分から動こうとしなかった私も悪い。
お互いに恋愛には奥手で。なかなか前に進めない。
この先の展開に踏み出すのも、まだまだ先のような気がした。
そう思ったら、キスできなかった美咲くんが、とても愛おしく感じた。

「それは大丈夫。キスしたいのは本当だから」

でもせめてキスだけは、もうそろそろいいかなと思う。
好きな人だから、触れ合いたい。そういった気持ちが溢れていく一方だ。
美咲くんもきっと私と同じ気持ちで。好きだからこそ、優しくしたいや、慎重になりたいといった、気持ちも芽生える。
その気持ちが伝わってきたから、私は美咲くんの気持ちを受け止めた。
だから、一歩前へ進みたい。二人のペースで少しずつ…。

「茜は男を煽るのが上手いな。これでキスしないとか、男として失格だろう」

そう言って、美咲くんは私の肩を掴み、キスした。
これが美咲くんとの初めてキスだった…。

「…ズルい。もうバカ」

胸板を優しく叩いた。不意打ちはズルい。
胸の高鳴りが急速に上がり、一気に顔も真っ赤になった。
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