腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「…で、綾香は彼氏と今後、どうしたいんだ?」

美咲くんが、いきなり核心に触れた。
綾香の表情は、一気に凍りついた。

「…分からない。今はまだ考えられない」

そりゃそうだ。昨日の今日で答えが出せたら、家出なんてしない。

「俺は綾香のことを大事な友達だと思ってるから、綾香の気が済むまで居てくれても構わないが、それじゃ根本的なことは解決されない。
今すぐ帰れなんて、そんな酷いことは言わない。
だが、(いず)れちゃんと家に帰ることも考えろよ。ゆっくりでいいが、あんまり長引かせると、彼氏と気まずくなるから程々にな」

今まで触れてこなかった鋭い部分に触れ、厳しいことを言った。
美咲くんの言葉を聞いて、綾香は痛いところを衝かれたみたいで、苦い顔をしていた。

「うん。分かってる。何れはちゃんと家に帰って、彼と話さないといけないなって思ってる。いつまでも逃げてばかりいられないし」

真剣にお付き合いしているからこそ、時にはたくさん悩むことだってある。
悩んで。考えて。一緒に解決していく。
私達だって、そうやって一つずつ乗り越えてきた。
綾香と彼氏さんも、そうやって乗り越えていけるような気がした。

「そっか。考えがまとまるまで、ゆっくりしていってくれ」

この話はここで終わり、それ以降この話がされることはなかった。
綾香は普通にしていたけど、元気がなさそうだった。
美咲くんは敢えて知らないフリをしていた。それが美咲くんなりの優しさであろう。
私は黙って見守ることしかできなかった。こうして、休日一日目が過ぎていった…。
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