腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「すみません。お待たせ致しました…」

私はそんなに待たされていないので、「大丈夫ですよ」と一言付け足した。

「それならよかったです。…失礼致します」

竹宮さんが椅子に腰かけた。
それは今から仕事の話をしますよという合図に過ぎなかった。

「先生にそう言って頂き、大変光栄です。ありがとうございます」

竹宮さんの表情が和らいだ。どうやら今日は、竹宮さんの方が緊張していたみたいだ。

「絶対に数字を出して、先生の実力を上の人に見せつけてやりましょう」

私は自分が描きたいと思ったものを描いているだけで。それが面白いかどうかはよく分からない。
ただ仕事にするとなると、そうはいかない。数字は大事だ。売れなくては意味がないから。
私にはまだ数字が取れない。知名度もないし、売れる作品を描く腕もない。そのことを自分でも自覚している。
それでも竹宮さんは、私以上に悔しがってくれている。今の私にはそれだけで充分だ。
でも、竹宮さんの言う通り、いつか上の人を見返せたらいいなと思う。

「はい!絶対に見せつけてやります!なので、竹宮さん。これからもお力添えをよろしくお願いします」

これから竹宮さんと一緒に頑張っていきたいという想いを込めて…。

「漫画とは別のお話になりますが、先生にお仕事のご依頼がきておりまして...」

一体、どんなお仕事なんだろう。急に再び緊張感が増した。
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