腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした

episode3.過去の話

私達は一先ず、場所を移動した。美咲くんの話を聞くために。
移動してきた場所はカラオケだった。
美咲くん曰く、今から話す内容はなるべく人に聞かれない場所が良いとのこと。
きっと今から話す内容に、美咲くんが腐男子であることが関わっている可能性が高いのかもしれないと思った。

私はとりあえず、美咲くんが落ち着いて話せるのならと思い、近くにあったカラオケを提案した。
歌う目的で利用する客が大半ではあるが、防音な上に個室なため、誰かに話を聞かれる心配もない。
手っ取り早くて、そんなに高くはない。お手軽な場所がカラオケだ。
他にこれといって良い案もなかったため、カラオケとなったのである。

「とりあえず、ドリンク頼もうか。あ!ここでもアイスマのコラボやってるよ。せっかくだから頼もっか」

私にできることは、とにかく雰囲気を明るくすることだけだった。
話を聞く側が話しやすい環境を整えてあげることは大事だと思う。その人がリラックスして話せるようにするために。

「茜ちゃん、気を使ってくれてありがとう。今の俺にはとても助かります」

やっと美咲くんの表情が少し和らいできた。
どうやら、もういつもの美咲くんに戻ってくれたみたいだ。

「いえいえ。今の私にできることは、これくらいしかないから」

あの元カノさんと過去に何があったかなんて、私には分からない。
私が知り合ったのは極最近で。きっとあの元カノさんの方が美咲くんのことをよく知っているのだと思う。
だから、モヤモヤしているのかもしれない。私の知らない美咲くんを知っているから。
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