腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「そうなんだよね。我慢…してたわけじゃないと思う。彼は純粋に私のことが好きで。ただ一緒に居たいだけっていうのは分かる。
それでも私には彼の優しさ。言い方を変えれば、彼には私しかないの。それが私には重荷だった。もっと彼には私以外にも視野を向けてほしかった。茜と美咲みたいにお互いに好きなものを共有したり、それぞれの時間も大切にしてほしかった…」

目の前に自分が求める理想の形がある。それを目の当たりにしてしまったら、理想と自分達(現実)を比べてしまう。
比べたところで意味はない。他人(ひと)と比べる必要なんてない。他人は他人であり、自分達は自分達だから。
頭では分かっていても、自分の気持ちがいっぱいいっぱいになった時、心が疲弊し、限界が訪れる。
綾香は何度もそうやって自分を誤魔化してきた。誤魔化していくうちに心の限界が訪れ、綾香は爆発した。爆発したから家出もしたし、別れも選んだ。
私は今、猛烈に綾香を抱きしめたい衝動に駆られた。気がついたら、そっと綾香を抱きしめていた。

「大丈夫だよ。綾香の気持ち…分かるよ。いつかきっと綾香が思う気持ちを共有できる人が現れると思う」

上から目線に聞こえたかな?結婚してる人の余裕に感じたかもしれない。
ただ私は、純粋にいつか綾香にも幸せが訪れてほしいと願っているだけだ。私でよければできる範囲内で協力したいとも思っている。

「ありがとう、茜。でもまだ話したいことがあるから一旦、離れてもらってもいい?」

急に恥ずかしさが込み上げてきた。タイミングを間違えた。何事もなかったかのように、私はそっと綾香から離れた。
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