妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
第28話 王国side①
「エーヴァ……いやここではリリスで良いだろう。陛下より『家庭教師を公爵家に派遣する』との話が来ている」
執務室に呼ばれた私がお父様に告げられたのは、家庭教師の派遣についてだった。どうやら、お父様の話曰く……現在王宮が何やら慌ただしい状況にあるとのこと。そのため、私の婚約者である殿下も執務に集中していることから、しばらく婚約者としての交流会は控えたいと話しているそうだ。
最初は屋敷を抜け出したことが、知られてしまったのだろうか……と私の顔から血の気が引いていく。けれども、その割にはお父様は声を荒げてもいないし、取り乱してもいない。つまり、私たちとは関係のない別の事情の可能性もあるのだろう。
そう考えていたら、お父様は満面の笑みを私に見せる。
「今から告げる言葉は口外禁止だ。良いね、リリス」
「はい、お父様」
目尻は吊り上がり、厳しい視線を送っているお父様だけれど、口角は今までにみたことがないほど上がっている。そのチグハグさに私は吹き出すのを堪えていた。幸い、お父様は私の様子に気づかれなかったのか、そのまま話し始めた。
「実は陛下より、多忙な理由をお聞きしている。それは、リリスと殿下の婚約の件についてだそうだ。正式な婚約式を設けていなかったことは覚えているだろう?」
私は頷いた。
そう、私と殿下との婚約の話は貴族たちに広まっている。けれども、大々的なお披露目というものはしていなかったのだ。理由は、エーヴァが入水したから。家族が亡くなったのに……ということだろう。
私たちにしてみたら、邪魔者であったエーヴァがいなくなったのだ。むしろ喜んで婚約を祝いたいくらいだったのだけれど……それをしてしまうと、周囲の貴族たちから反感を買ってしまうと両親から宥められたことを思い出す。
それにお告げのリリスではなく、エーヴァを代わりに入水させたことは絶対勘づかれてはならない。もし周囲にこのことが知られたらどうなるか、なんてリリスだって理解していた。
「その婚約式のお披露目の件で、少々忙しくなるようなのだ」
お父様はまるでその警戒が功を奏したと言わんばかりに、嬉しそうだ。普段よりも声のトーンが高い。私もお父様の話を聞いて、思わず両手を胸の前で握りしめるのと同時に口角が自然と上がった。
「お父様、それ本当?!」
「ああ、リリスには可愛らしいドレスを……いや、ドレスもあちらが用意してくれると言っていたな。装飾品をいくつか購入しようではないか」
「嬉しい! お父様!」
私はお父様へと抱きつく。
お父様も嬉しそうに私を抱きしめてくれる。そして私の頭をそっと撫でてくれた。
「家へと家庭教師が来るが、頑張れそうか?」
「ええ、お父様! 私も頑張るわ!」
お父様にはそう告げたが、私はやはり仮面舞踏会へ行きたかった。だって、ずっと家にいたら息がつまるじゃない?
執務室に呼ばれた私がお父様に告げられたのは、家庭教師の派遣についてだった。どうやら、お父様の話曰く……現在王宮が何やら慌ただしい状況にあるとのこと。そのため、私の婚約者である殿下も執務に集中していることから、しばらく婚約者としての交流会は控えたいと話しているそうだ。
最初は屋敷を抜け出したことが、知られてしまったのだろうか……と私の顔から血の気が引いていく。けれども、その割にはお父様は声を荒げてもいないし、取り乱してもいない。つまり、私たちとは関係のない別の事情の可能性もあるのだろう。
そう考えていたら、お父様は満面の笑みを私に見せる。
「今から告げる言葉は口外禁止だ。良いね、リリス」
「はい、お父様」
目尻は吊り上がり、厳しい視線を送っているお父様だけれど、口角は今までにみたことがないほど上がっている。そのチグハグさに私は吹き出すのを堪えていた。幸い、お父様は私の様子に気づかれなかったのか、そのまま話し始めた。
「実は陛下より、多忙な理由をお聞きしている。それは、リリスと殿下の婚約の件についてだそうだ。正式な婚約式を設けていなかったことは覚えているだろう?」
私は頷いた。
そう、私と殿下との婚約の話は貴族たちに広まっている。けれども、大々的なお披露目というものはしていなかったのだ。理由は、エーヴァが入水したから。家族が亡くなったのに……ということだろう。
私たちにしてみたら、邪魔者であったエーヴァがいなくなったのだ。むしろ喜んで婚約を祝いたいくらいだったのだけれど……それをしてしまうと、周囲の貴族たちから反感を買ってしまうと両親から宥められたことを思い出す。
それにお告げのリリスではなく、エーヴァを代わりに入水させたことは絶対勘づかれてはならない。もし周囲にこのことが知られたらどうなるか、なんてリリスだって理解していた。
「その婚約式のお披露目の件で、少々忙しくなるようなのだ」
お父様はまるでその警戒が功を奏したと言わんばかりに、嬉しそうだ。普段よりも声のトーンが高い。私もお父様の話を聞いて、思わず両手を胸の前で握りしめるのと同時に口角が自然と上がった。
「お父様、それ本当?!」
「ああ、リリスには可愛らしいドレスを……いや、ドレスもあちらが用意してくれると言っていたな。装飾品をいくつか購入しようではないか」
「嬉しい! お父様!」
私はお父様へと抱きつく。
お父様も嬉しそうに私を抱きしめてくれる。そして私の頭をそっと撫でてくれた。
「家へと家庭教師が来るが、頑張れそうか?」
「ええ、お父様! 私も頑張るわ!」
お父様にはそう告げたが、私はやはり仮面舞踏会へ行きたかった。だって、ずっと家にいたら息がつまるじゃない?