妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
「大丈夫なのですか?」
「ああ、確かに今回の魔術には相当の魔力が込められていたな。魔力の弱い者であれば、確かに解除は無理だろうが……私も魔力量は多いからな。時間が掛かってしまったが、解除は可能だ」
涼しい表情でそう告げるアダン様。
「それにお前たちは勘違いをしているが、魔術をすべて防ぐ魔道具など存在しない。その魔道具以上の魔力量を使用した魔術を行使されれば、防ぐことはできない、と教えてもらわなかったのか?」
その姿は普段と同様、凛々しく素敵なアダン様で……。
そう、私はこの人の隣に立つのだ。
「アダン様、ありがとうございます」
後ろからお礼を告げると、アダン様はこちらを一瞥した後正面を向いた。その横顔に笑みが浮かんでるのが見える。彼の表情を見て、この街の皆を一人一人思い出す。私はノアの笑顔を思い出した後、最後にアダン様の横顔をチラリと見てから、彼の隣に立った。
形勢逆転である。
私はアダン様に背中をポン、と叩かれる。彼へと顔を向けると、視線がぶつかった。微笑む彼に、心が温かくなる。私は改めて家族の皆に向き直った。
「物置令嬢……いえ、あなた方に怯えて生きている私は、泉に身を投げた時、死んだのです。私はここで二度目の人生を生きていきます。ですから、地上へと戻ることはございません」
声を張り上げることもなく、涙を見せることもない。ただただ抑揚のない声だけが辺りを支配する。
あれだけ手を痛がっていた公爵も、私を睨みつけていた夫人も、こちらを見下していたリリスですら、動きが止まる。
しばらくして私の言葉の意味を呑み込んだ三人は、まるで怒髪天を衝くほど怒り狂い始める。けれども、アダン様の魔術によって顔を真っ赤にするだけの彼らは、怖くもなんともなかった。
公爵も、夫人も、リリスも……血が頭にのぼっているのか、それとも私に何か言わないと気が済まないのか……喉から唸り声を出している。
――まるで「なぜ笑っている?」と言われているかのよう。
「だって、私は今、幸せですから」
不意に言葉が漏れた。その言葉に耳を疑ったのか……三人の瞳孔が思い切り開く。
「王国では私自身を見てくれる方などいませんでしたが……ここでは、皆が私をエーヴァとして尊重してくださいます。ですから、私は王国に戻りません。皆様は、自分がしたことに関して、きちんと責任を取ってくださいね?」
にっこりと微笑む私。
私に言い返されたことを呑み込んだ三人は、目が血走っていく……そしてアダン様の魔術を解除しようとして視線を動かすが、彼らにはどうすることもできないのだ。
そもそも三人は魔道具を持っているだけの加護のない人、なのだから。
「ああ、確かに今回の魔術には相当の魔力が込められていたな。魔力の弱い者であれば、確かに解除は無理だろうが……私も魔力量は多いからな。時間が掛かってしまったが、解除は可能だ」
涼しい表情でそう告げるアダン様。
「それにお前たちは勘違いをしているが、魔術をすべて防ぐ魔道具など存在しない。その魔道具以上の魔力量を使用した魔術を行使されれば、防ぐことはできない、と教えてもらわなかったのか?」
その姿は普段と同様、凛々しく素敵なアダン様で……。
そう、私はこの人の隣に立つのだ。
「アダン様、ありがとうございます」
後ろからお礼を告げると、アダン様はこちらを一瞥した後正面を向いた。その横顔に笑みが浮かんでるのが見える。彼の表情を見て、この街の皆を一人一人思い出す。私はノアの笑顔を思い出した後、最後にアダン様の横顔をチラリと見てから、彼の隣に立った。
形勢逆転である。
私はアダン様に背中をポン、と叩かれる。彼へと顔を向けると、視線がぶつかった。微笑む彼に、心が温かくなる。私は改めて家族の皆に向き直った。
「物置令嬢……いえ、あなた方に怯えて生きている私は、泉に身を投げた時、死んだのです。私はここで二度目の人生を生きていきます。ですから、地上へと戻ることはございません」
声を張り上げることもなく、涙を見せることもない。ただただ抑揚のない声だけが辺りを支配する。
あれだけ手を痛がっていた公爵も、私を睨みつけていた夫人も、こちらを見下していたリリスですら、動きが止まる。
しばらくして私の言葉の意味を呑み込んだ三人は、まるで怒髪天を衝くほど怒り狂い始める。けれども、アダン様の魔術によって顔を真っ赤にするだけの彼らは、怖くもなんともなかった。
公爵も、夫人も、リリスも……血が頭にのぼっているのか、それとも私に何か言わないと気が済まないのか……喉から唸り声を出している。
――まるで「なぜ笑っている?」と言われているかのよう。
「だって、私は今、幸せですから」
不意に言葉が漏れた。その言葉に耳を疑ったのか……三人の瞳孔が思い切り開く。
「王国では私自身を見てくれる方などいませんでしたが……ここでは、皆が私をエーヴァとして尊重してくださいます。ですから、私は王国に戻りません。皆様は、自分がしたことに関して、きちんと責任を取ってくださいね?」
にっこりと微笑む私。
私に言い返されたことを呑み込んだ三人は、目が血走っていく……そしてアダン様の魔術を解除しようとして視線を動かすが、彼らにはどうすることもできないのだ。
そもそも三人は魔道具を持っているだけの加護のない人、なのだから。