妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

第13話 心の闇

 イグナスさんの商品を思う存分楽しんだ私達は、彼にお礼を告げる。ノアはこの後勉強があると言って、握り拳を作りながら自分の部屋へと戻っていった。
 廊下に一人で歩く私……コツコツ、と自分の歩く足音だけが耳に入ってくる。規則正しいその音を聞いているうち、どこからか目の前に(もや)が出始めた。
 こんなことは初めて……と思いながら、靄に道を隠される前に辿り着こうと足早で歩こうとする。
 しかし考えとは裏腹に、歩幅は狭くなり……最後には足が止まった。

 私は首元を彩っていた首飾りを見る。
 アダン様から戴いたコレは、私に相応しくない。自分の思うがままに首飾りを外す。
 
 気がつけば靄が晴れており、私は最後の曲がり角に辿り着いていた。ここを左折すれば私の部屋に着く。けれども、私は部屋へ戻るのではなく……直進の道を選んでいた。
 
 私はここにいてはいけない。そんな思いに駆られた私は、まだ歩いたことのない廊下へと足を踏み入れたのだ――
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