妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
エーヴァと思って接してきた人物が、リリスだった……その裏切りが、彼を苛立たせているのだ。リリスとシリウスを会わせないのは、シリウスの感情を逆撫でしないようにするという理由でもあった。
まあ、そもそも王命や神託に従わない人間など、信用する価値もない。評価も底辺に……いや、地の底よりも深く落ちた貴族など、いつ寝首をかかれるか……近くに置いておきたくないと思うのが普通だろうに。
「万が一、公爵夫妻やリリス嬢が王宮を訪ねてきたとしても、入城を許す必要はない。『分不相応な舞踏会への出入りがある』と釘を刺しておけば、自らの立ち位置を悟るだろう。愚か者どもめ……公爵家内で震えて過ごすが良い」
今までにないほど、国王は眉間の皺を深く刻みつける。ここまで王家をコケにしたのだ。その代償を払ってもらわなくてはならない。彼は今だに泣き崩れている教皇を一瞥する。全てが彼の責任、というわけではない。国王である自分も、確認を怠った上であの儀式に参列していたのだから同罪である。
「猊下。この後の対処をどうするべきか……共に考えなくてはならない」
「……そう……だな……すまない……」
教皇は従者から渡された手拭いで涙を拭き取る。
彼の目元は赤くなっていたが、その瞳に浮かぶのは悲しみだけでない。未来を見据える力強い光も宿っていた。
「生き残っているのがリリス嬢だと判明した今、聖務者として彼女を泉に送り込む必要があるように思うのだが」
「私は賛成します。個人的には公爵夫妻にも教会から罰則を与えたいと考えますが、いかがでしょう?」
「それは問題ない。ただし時期は考えてほしい」
二人は視線を交わして頷きあう。そこにはもう涙を流して悲観に暮れている教皇はいない。彼はこれから先、女神の神託に背いた者たちの後始末をしなければならないのだから。
そんな教皇を見て、国王は一瞬だけ眉を下げる。彼に神託を冒すという重責を背負わせてしまったことを、申し訳なく感じていたのだ。だが、教皇もそんな国王の考えはお見通しだったらしい。
「陛下、今回の件は私が有耶無耶に進めてしまっていたからこそ起きた結果です。私はそれを受け止め、正さなくてはなりません。ご協力いただけますね?」
その言葉を聞いて昔……共に切磋琢磨していた時代を思い出す。まるでその時代に戻ったような錯覚を受けた。
もう大丈夫だろう、と陛下は考える。
「いいだろう。この件に関しては私も同罪だ。共に戦おうではないか」
「……ありがとうございます」
二人は固く手を握り合う。そして共通の敵であるグレイザント公爵家の屋敷がある方角を見据えた。
まあ、そもそも王命や神託に従わない人間など、信用する価値もない。評価も底辺に……いや、地の底よりも深く落ちた貴族など、いつ寝首をかかれるか……近くに置いておきたくないと思うのが普通だろうに。
「万が一、公爵夫妻やリリス嬢が王宮を訪ねてきたとしても、入城を許す必要はない。『分不相応な舞踏会への出入りがある』と釘を刺しておけば、自らの立ち位置を悟るだろう。愚か者どもめ……公爵家内で震えて過ごすが良い」
今までにないほど、国王は眉間の皺を深く刻みつける。ここまで王家をコケにしたのだ。その代償を払ってもらわなくてはならない。彼は今だに泣き崩れている教皇を一瞥する。全てが彼の責任、というわけではない。国王である自分も、確認を怠った上であの儀式に参列していたのだから同罪である。
「猊下。この後の対処をどうするべきか……共に考えなくてはならない」
「……そう……だな……すまない……」
教皇は従者から渡された手拭いで涙を拭き取る。
彼の目元は赤くなっていたが、その瞳に浮かぶのは悲しみだけでない。未来を見据える力強い光も宿っていた。
「生き残っているのがリリス嬢だと判明した今、聖務者として彼女を泉に送り込む必要があるように思うのだが」
「私は賛成します。個人的には公爵夫妻にも教会から罰則を与えたいと考えますが、いかがでしょう?」
「それは問題ない。ただし時期は考えてほしい」
二人は視線を交わして頷きあう。そこにはもう涙を流して悲観に暮れている教皇はいない。彼はこれから先、女神の神託に背いた者たちの後始末をしなければならないのだから。
そんな教皇を見て、国王は一瞬だけ眉を下げる。彼に神託を冒すという重責を背負わせてしまったことを、申し訳なく感じていたのだ。だが、教皇もそんな国王の考えはお見通しだったらしい。
「陛下、今回の件は私が有耶無耶に進めてしまっていたからこそ起きた結果です。私はそれを受け止め、正さなくてはなりません。ご協力いただけますね?」
その言葉を聞いて昔……共に切磋琢磨していた時代を思い出す。まるでその時代に戻ったような錯覚を受けた。
もう大丈夫だろう、と陛下は考える。
「いいだろう。この件に関しては私も同罪だ。共に戦おうではないか」
「……ありがとうございます」
二人は固く手を握り合う。そして共通の敵であるグレイザント公爵家の屋敷がある方角を見据えた。