訳あって、推しに激似のクールな美容外科医と利害一致のソロ活婚をしたはずが溺愛婚になりました
思わずムッとした口調で言い返してしまったが、こんな時にも杏璃を心配してくれている。そう思うと、胸がキュンと甘い音色を奏でる。
そうとも知らず、央輔は思案顔で首を傾げて唸るように呟いた。
「なら、どうして」
そんな仕草まで愛おしく想えるのだから、恋とは不思議だ。
もう種明かしをしてもいいかと思ったけれど、悪戯心が邪魔をする。
――もう少しだけ、自分のことで思い悩む推しの姿を見てみたい。
という欲が芽生えたせいだ。
「気になりますか?」
「そりゃ、俺にとって推しは最強のライバルだからな」
「『最強のライバル』って。それって、つまり、推しに嫉妬してるってことですか?」
(あー、ダメだ。ニヤけちゃう……)
嬉しくて顔がだらしなく緩んでいくのが自分でもわかる。これ以上緩んでしまったら元に戻らなくなるのでは……。などと心配しかけた時、推しから今度は自嘲気味な声が返ってきた。
「アニキャラなんかに嫉妬してるなんて、癪だし、情けないけどな」
――まさか、推しの口から『嫉妬してる』なんて言葉が聞ける日がくるとは……何という僥倖。
(……う、嬉しすぎてますますニヤけちゃうよう)
杏璃は溢れんばかりの感情にまかせて推しに飛びかかりたい衝動を必死で堪えつつ、推しに問い掛けた。
「そんなに、私のことが好きなんですか?」
「ああ、好きだ。いつか推しなんかより俺のほうが好きだって、必ず言わせてみせるからな」
推しの口から、予想以上の言葉が紡ぎ出されて、杏璃の心は大きく打ち震える。
――こんなにも感動したのは、生まれて初めてかもしれない。
「そんなふうに想ってもらえてるなんて、嬉しい! 夢みたい!」
「『夢みたい』って。なら、夢じゃなく現実だって、教え込んでやらないとな」
(え? 推し自ら?)
「臨むところです!」
「ヤケに積極的だな。そんなこと言って、抱き潰されても知らないぞ?」
杏璃の推しが央輔だと、本人に察してもらう作戦だったはずが、いつしか作戦関係なく、ありのままの想いをぶつけていた。
「央輔さんに抱き潰されるなら本望ですよ。だって、推し変した私の推しは、これから一生、央輔さんだけだから」
「――はッ⁉ お、推し変っていうのは、推しが変わったってことで合ってるのか?」
一方、杏璃の告白を受けた央輔は、ひどく混乱しているようだ。切れ長の瞳が大きく見開かれて、今にも落っこちてしまいそう。
それでも、状況を確認してくるあたり、大人だなと感心してしまう。
推しの何処をとっても、欠点にあらず。
――あばたもえくぼである。
「はい、合ってますよ。私の今の推しは央輔さんですから」
「……そ、そうなのか?」
そう口にしながらも、央輔はにわかに信じられないという表情で茫然としている。間が抜けた表情でさえも、神々しいほどに煌めいて見える。
さすがは推しとしか言いようがない。
おそらく、いいや絶対に、この眩いほどの推しの魅力は一生損なわれないに決まっている。
杏璃にとって、これほどまでに尊い存在は央輔しかいない――そう断言できる。
杏璃は、央輔に今の自分の気持ちを理解して欲しくて、想いのままに言葉を紡ぎ出す。
「だって、私にとって央輔さんこそが、唯一無二の推しなんですから。推しへの愛は永遠不滅です!」
言ってから、杏璃は大いに狼狽えた。
推しについて何度も語ってきたが、央輔もさすがに自分のこととなると、気持ち悪いと感じるのではないか……。そんな懸念が頭を過ったのだ。さらなる追い打ちをかけるように、推しと出会った頃、推しへの愛を同級生にうっかり口走り、ドン引きされた記憶が蘇ってくる。
――あの時みたいに、推しである央輔に引かれてしまったら、ショックで立ち直れない。
暗く沈んでしまいそうになっていた杏璃の耳に、央輔の呟きが届いた。
そうとも知らず、央輔は思案顔で首を傾げて唸るように呟いた。
「なら、どうして」
そんな仕草まで愛おしく想えるのだから、恋とは不思議だ。
もう種明かしをしてもいいかと思ったけれど、悪戯心が邪魔をする。
――もう少しだけ、自分のことで思い悩む推しの姿を見てみたい。
という欲が芽生えたせいだ。
「気になりますか?」
「そりゃ、俺にとって推しは最強のライバルだからな」
「『最強のライバル』って。それって、つまり、推しに嫉妬してるってことですか?」
(あー、ダメだ。ニヤけちゃう……)
嬉しくて顔がだらしなく緩んでいくのが自分でもわかる。これ以上緩んでしまったら元に戻らなくなるのでは……。などと心配しかけた時、推しから今度は自嘲気味な声が返ってきた。
「アニキャラなんかに嫉妬してるなんて、癪だし、情けないけどな」
――まさか、推しの口から『嫉妬してる』なんて言葉が聞ける日がくるとは……何という僥倖。
(……う、嬉しすぎてますますニヤけちゃうよう)
杏璃は溢れんばかりの感情にまかせて推しに飛びかかりたい衝動を必死で堪えつつ、推しに問い掛けた。
「そんなに、私のことが好きなんですか?」
「ああ、好きだ。いつか推しなんかより俺のほうが好きだって、必ず言わせてみせるからな」
推しの口から、予想以上の言葉が紡ぎ出されて、杏璃の心は大きく打ち震える。
――こんなにも感動したのは、生まれて初めてかもしれない。
「そんなふうに想ってもらえてるなんて、嬉しい! 夢みたい!」
「『夢みたい』って。なら、夢じゃなく現実だって、教え込んでやらないとな」
(え? 推し自ら?)
「臨むところです!」
「ヤケに積極的だな。そんなこと言って、抱き潰されても知らないぞ?」
杏璃の推しが央輔だと、本人に察してもらう作戦だったはずが、いつしか作戦関係なく、ありのままの想いをぶつけていた。
「央輔さんに抱き潰されるなら本望ですよ。だって、推し変した私の推しは、これから一生、央輔さんだけだから」
「――はッ⁉ お、推し変っていうのは、推しが変わったってことで合ってるのか?」
一方、杏璃の告白を受けた央輔は、ひどく混乱しているようだ。切れ長の瞳が大きく見開かれて、今にも落っこちてしまいそう。
それでも、状況を確認してくるあたり、大人だなと感心してしまう。
推しの何処をとっても、欠点にあらず。
――あばたもえくぼである。
「はい、合ってますよ。私の今の推しは央輔さんですから」
「……そ、そうなのか?」
そう口にしながらも、央輔はにわかに信じられないという表情で茫然としている。間が抜けた表情でさえも、神々しいほどに煌めいて見える。
さすがは推しとしか言いようがない。
おそらく、いいや絶対に、この眩いほどの推しの魅力は一生損なわれないに決まっている。
杏璃にとって、これほどまでに尊い存在は央輔しかいない――そう断言できる。
杏璃は、央輔に今の自分の気持ちを理解して欲しくて、想いのままに言葉を紡ぎ出す。
「だって、私にとって央輔さんこそが、唯一無二の推しなんですから。推しへの愛は永遠不滅です!」
言ってから、杏璃は大いに狼狽えた。
推しについて何度も語ってきたが、央輔もさすがに自分のこととなると、気持ち悪いと感じるのではないか……。そんな懸念が頭を過ったのだ。さらなる追い打ちをかけるように、推しと出会った頃、推しへの愛を同級生にうっかり口走り、ドン引きされた記憶が蘇ってくる。
――あの時みたいに、推しである央輔に引かれてしまったら、ショックで立ち直れない。
暗く沈んでしまいそうになっていた杏璃の耳に、央輔の呟きが届いた。