訳あって、推しに激似のクールな美容外科医と利害一致のソロ活婚をしたはずが溺愛婚になりました
推しへの愛は永遠不滅です!
数時間後、高邑家での賑やかな晩餐を堪能した杏璃と央輔は、愛の巣である自宅マンションへと帰り着いていた。今は、見慣れたリビングのソファでふたり仲良く肩を寄せ合い寛いでいるところだ。
央輔と想いが通じ合えた昨夜から、立て続きに色んなことがあった。あまりにめまぐるしくて、なんだか夢でも見ているような心地がする。
けれど、杏璃の隣には確かに央輔がいて、蕩けるような甘い眼差しを向けてくれている。
もうそれだけで、この上なく幸せで、他には何も要らない――心からそう思える。
杏璃は央輔と静かに語らいながら、これこそが幸せなのだと、身をもって実感していた。
「央輔さん、今日は本当にありがとうございました。海兄も空兄も喜んでくれたと思います。私も、すっごく感激しました」
「あ、まぁ、味方に付けるのが一番の牽制になるからな」
「……え、それってどういう」
「仕事の話だから気にするな。それより、俺は杏璃とふたりだけの時間をじっくり堪能したい」
高邑家での騒動を振り返っていたはずが、急に甘い雰囲気へと話が移ろいだ。
途端に羞恥を覚えた杏璃は色気のない質問を返してしまう。
「……あの、それって、その……エッチしたいって意味ですか?」
「まぁ、それもあるが。俺が言いたいのは、俺といるときに、杏璃の口から俺以外の男の名前を何度も聞きたくないって意味だ」
(そ、それもあるんだ。央輔さんってば、いつもはクールに澄ましてるクセして、エッチなんだから……)
そうは思いつつも、推しに求めてもらえるのは、正直嬉しい。
何より、独占欲を思わせる央輔からの言葉に、杏璃は小躍りするほど喜んでいた。
「わかりました、これからは気をつけますね」
杏璃は喜びを噛みしめつつ、素直に了承したのだが……。
「……あ、いや、でも、杏璃の推しは例外だから気にしなくてもいい。元々、そういう約束だったんだしな」
一瞬だけ勘案する素振りを見せた央輔から意外な返事があり、杏璃は思わず聞き返していた。
「え? いいんですか?」
「『いいんですか?』って、推しのことだぞ?」
央輔は、杏璃の気持ちを尊重しようとしてくれているようだが、推し変した今の杏璃にとっては、央輔と一緒に過ごす日常こそが推し活のようなものである。
推し変する前とは比較にならないほど、目に映る何もかもが輝いて見えるほどだ。
なので、推し活など無用だ。
とはいえ、それを本人に面と向かって告げるのは少々気恥ずかしい。
ならば、央輔にそれとなく察してもらおうと杏璃は言葉を重ねていく。
「そうですよ。だって、央輔さんが言ったんじゃないですか。他の男の名前は何度も聞きたくないって」
「いや、まぁ、杏璃がいいなら俺は別に構わないが……。ん? そういえば、最近、推し活にも行ってない気がするが、行かなくていいのか?」
杏璃の戦法が功を奏したのか、話の流れがいい方に転んだ。
――これならすぐに気づいてくれるに違いない。
央輔に向けて自信たっぷりに言い放った。
「もう必要ないですから」
「『もう必要ない』ってどうしたんだ? もしかして、熱でもあるのか?」
ところが、央輔は杏璃の意図に気づかないどころか、心配そうに杏璃の額に手を当ててくる始末だ。
しかも、大真面目に。
その様は、医師そのもので、出会った日のホテルで介抱してもらった際の記憶と重なる。
冗談で言っているのかとも思ったが、どうやら本気で心配しているようだ。
「もう、熱なんかないですってばぁ」
央輔と想いが通じ合えた昨夜から、立て続きに色んなことがあった。あまりにめまぐるしくて、なんだか夢でも見ているような心地がする。
けれど、杏璃の隣には確かに央輔がいて、蕩けるような甘い眼差しを向けてくれている。
もうそれだけで、この上なく幸せで、他には何も要らない――心からそう思える。
杏璃は央輔と静かに語らいながら、これこそが幸せなのだと、身をもって実感していた。
「央輔さん、今日は本当にありがとうございました。海兄も空兄も喜んでくれたと思います。私も、すっごく感激しました」
「あ、まぁ、味方に付けるのが一番の牽制になるからな」
「……え、それってどういう」
「仕事の話だから気にするな。それより、俺は杏璃とふたりだけの時間をじっくり堪能したい」
高邑家での騒動を振り返っていたはずが、急に甘い雰囲気へと話が移ろいだ。
途端に羞恥を覚えた杏璃は色気のない質問を返してしまう。
「……あの、それって、その……エッチしたいって意味ですか?」
「まぁ、それもあるが。俺が言いたいのは、俺といるときに、杏璃の口から俺以外の男の名前を何度も聞きたくないって意味だ」
(そ、それもあるんだ。央輔さんってば、いつもはクールに澄ましてるクセして、エッチなんだから……)
そうは思いつつも、推しに求めてもらえるのは、正直嬉しい。
何より、独占欲を思わせる央輔からの言葉に、杏璃は小躍りするほど喜んでいた。
「わかりました、これからは気をつけますね」
杏璃は喜びを噛みしめつつ、素直に了承したのだが……。
「……あ、いや、でも、杏璃の推しは例外だから気にしなくてもいい。元々、そういう約束だったんだしな」
一瞬だけ勘案する素振りを見せた央輔から意外な返事があり、杏璃は思わず聞き返していた。
「え? いいんですか?」
「『いいんですか?』って、推しのことだぞ?」
央輔は、杏璃の気持ちを尊重しようとしてくれているようだが、推し変した今の杏璃にとっては、央輔と一緒に過ごす日常こそが推し活のようなものである。
推し変する前とは比較にならないほど、目に映る何もかもが輝いて見えるほどだ。
なので、推し活など無用だ。
とはいえ、それを本人に面と向かって告げるのは少々気恥ずかしい。
ならば、央輔にそれとなく察してもらおうと杏璃は言葉を重ねていく。
「そうですよ。だって、央輔さんが言ったんじゃないですか。他の男の名前は何度も聞きたくないって」
「いや、まぁ、杏璃がいいなら俺は別に構わないが……。ん? そういえば、最近、推し活にも行ってない気がするが、行かなくていいのか?」
杏璃の戦法が功を奏したのか、話の流れがいい方に転んだ。
――これならすぐに気づいてくれるに違いない。
央輔に向けて自信たっぷりに言い放った。
「もう必要ないですから」
「『もう必要ない』ってどうしたんだ? もしかして、熱でもあるのか?」
ところが、央輔は杏璃の意図に気づかないどころか、心配そうに杏璃の額に手を当ててくる始末だ。
しかも、大真面目に。
その様は、医師そのもので、出会った日のホテルで介抱してもらった際の記憶と重なる。
冗談で言っているのかとも思ったが、どうやら本気で心配しているようだ。
「もう、熱なんかないですってばぁ」