ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

7、写真の中の温かい心


 写真部に体験入部をして五日目。

 今日で写真部の体験入部は終わり。

 私と三滝先輩は、昨日と同じように外に出て写真を撮った。
 野田先生のいる温室に行って、春の花々を撮らせてもらった。

 私が撮った写真だと、なんだかピントがずれていたり、暗くなったりしてしまって、きれいに撮れなかったんだけど。
 私が上手く撮れずに悩んでいると、すぐに三滝先輩が教えに来てくれた。
 デジカメにもいろんな設定があるみたいで、手ブレを補正してくれたり、撮りたいものに簡単にピントを合わせてくれたり。
 思ったよりもカメラで写真を撮ることは、とっても奥が深いみたい。

 それを少しずつ教えてもらって撮ってみると、さっきよりもきれいに撮れたりして、すごく嬉しかった。


「よく撮れてるなぁ。みのりちゃん、写真撮る才能あるんじゃない?」
「三滝先輩の教え方がいいからですよ」
「嬉しいこと言ってくれるね。ていうか、俺のことは名前で呼んでよ」
「え?」
千景(ちかげ)でいいよ。三滝先輩って長いでしょ?」
「ええ、でも先輩ですし……」
「みのりちゃんからは名前で呼ばれたいな?」


 三滝先輩は女子ならだれでもとりこになってしまうような、優しい笑みを浮かべて私を見つめる。


「ええと、じゃあ、千景先輩……」
「えー、それじゃあ全然長さ変わってないんだけどー?」


 千景先輩は少し不服そうにくちびるをとがらせていたけれど、「まぁ、いっか」と言って笑う。



 そうして私たちはまた、それぞれに写真を撮りはじめる。
 野田先生から許可はもらっているけれど、先生の作業の邪魔にならないように、私と千景先輩は温室を歩き回った。

 赤や黄色に花びらを染めるチューリップがあまりにきれいで、私はカメラを向けた。
 パシャッと小さく音がして、画面に撮った写真が映し出される。


「うん、これはなかなかきれいに撮れたかも!」


 ピンぼけも、手ブレもなく、チューリップの鮮やかさもきれいに撮れている。

 千景先輩に見せよう!

 そう思って先輩を探すと、先輩はある一点にカメラを向けて、じーっとしていた。
 その千景先輩のまとう空気が、すっごく真剣でぴんと張りつめていて、私は思わず息をのんだ。

 先輩が見つめる先には、水やりによってぬれた葉っぱに、小さなてんとう虫。
 しばらくそれを見つめていた千景先輩は、少ししてシャッターを切った。

 撮った写真を見ながら、首をかしげる千景先輩。


「先輩、どうかしましたか?」
「ああ、みのりちゃん」


 先輩は少し困ったように写真を見せてくれた。
 そこには、水滴できらきらと光る葉を、かわいらしく歩くてんとう虫が写っていた。


「すごい! とてもきれいに撮れてます!」


 私が感動していると、千景先輩は眉を下げて笑う。


「うーん、まあきれいなんだろうけど、なんかしっくりこないよね」
「え、どうしてですか?」


 こんなにきれいに撮れているのに、千景先輩はなにが不満なんだろう?


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