ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

「ただきれいなだけっていうか、これじゃあコンクールには出せないかな」
「そういうものですか……?」


 写真のコンクールって難しい。
 ただきれいな写真を撮るだけじゃだめなのかな?

 なんだかめずらしく千景先輩が悩んでいるような気がした。
 いつも軽い感じで気さくに話してくれる先輩だけど、写真に向き合うときはすっごく真剣なんだ。

 好きだからこそ、きっとこだわりもあって、もっとよく撮りたいって向き合ってるんだと思う。


「あ、あの!」


 私の声に、千景先輩が顔を上げる。


「先輩も昨日言ってたと思うんですけど、好きに自由に撮ってみたらよいのではないでしょうか……!」
「え?」
「あ、す、すみません! 私なんかが写真のことを語るのは何百年も早いとは思うんですけど! 部活動として、コンクールに出さなきゃいけないってこともわかるんですけどっ」


 私は精一杯、千景先輩に気持ちを伝えてみる。


「好きに自由に撮ったものの方が、千景先輩らしさが写真にも出るのかなって。先輩が好きだなって気持ちで撮ったからこそ、その写真を見た人にも気持ちが伝わるのかなって」


 しどろもどろになりながら伝えると、千景先輩はきょとんとした顔をしている。

 へ、変なこと言っちゃったかも……、出しゃばりすぎたかも……!

 そう思っていると、先輩はからっと笑った。


「あはは、みのりちゃんの言う通りだ」
「え?」
「写真部として、結果出せたら最高だよな~とか思うけど、たしかに狙っていい写真が撮れるわけでもないし、それがコンクールで受賞できるわけでもない。俺のスタンスとしては、気楽に撮って、そんで自分の満足のいく写真が撮れたら最高~くらいでいいよね。みのりちゃんにかっこいいとこ見せようってがんばりすぎちゃってたかも?」


 千景先輩はいつものようにへらっとした笑顔を浮かべる。


「ていうか何百年も早いってなに~? 思ったことがあったらなんでも言ってよ。俺たちの仲でしょ?」


 千景先輩はいつも通りの調子に戻って、にこっと私に笑顔を向ける。


「さ、撮影再開しよ? みのりちゃんにかっこいいと思ってもらえるような写真を撮らなくちゃ」
「千景先輩は十分かっこいいですよ! それに写真もとってもすてきです!」


 私の言葉に、千景先輩がまたへらっと笑う。
 そうしていきなり私にカメラを向けてシャッターを切った。


「な、なんで撮るんですかっ!」
「だって真剣に話すみのりちゃん、かわいいから~」


 先輩はまた軽くそんなことを言う。
 冗談なのか本気なのか、いまいちわからない。
 頬をふくらませる私の耳元で、千景先輩はささやく。


「みのりちゃんをかわいいと思っているのは、本当だよ?」


 びっくりした私はあわててしまって、手に持っていたカメラのシャッターを押してしまった。


「みのりちゃん、写真部に入りなよ! 俺、みのりちゃんともっと一緒に写真撮りたいかも!」



 多目的教室に戻って、今日の写真を印刷してみると、私があわてて撮ってしまった写真には、千景先輩のすてきな笑顔が写っていた。




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