ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉
翌日の放課後、多目的教室の文芸部スペースにて。
「咲森、これ」
「え?」
夏目先輩から手渡されたのは、ノートと同じサイズくらいの冊子だった。
「読んでみてくれないか?」
「あ、はい!」
私は先輩から冊子を受け取り、さっそく中を開く。
パソコンで打った文字たちが、きれいに並んでいる。
「これ、もしかして夏目先輩が書いた小説ですか?」
「そうだ」
タイトルは、『ひまわりのようなきみ』。
夏目先輩の小説だ! って、私はわくわくしながらさっそく読み始める。
『いつもひまわりのように明るい笑顔を浮かべるきみは、どこにいても楽しそうだった。ころころと表情を変える姿に、気がつけば目をうばわれ、きみがどうしたら僕にその笑顔を向けてくれるのか、どうしても知りたくなった。
僕が大好きな小説を読んでいる時、きみは静かに傍にいて穏やかに待ってくれていた。アイスをおいしそうに食べるきみの笑顔が、あまりに可愛らしくて僕は目が離せなかった。優しいきみが選んだ本だから、きっとこの本もきみのように優しいのだろう。僕には恋というものがわからない。もし恋が、春のような温かな気持ちを運んでくるものならば、きっと僕は…………』
そこまで読んで、私はあわてて本を閉じた。
「ちょ、ちょちょっと待ってくださいっ!? この小説って……」
「咲森との昨日のデートで感じたものを、小説にしただけだが?」
ですよねっ!? だって昨日のデートそのままだもん!
でも……。これが、夏目先輩の気持ち?
いつもクールで無表情で、なにを考えているのかいまいちわからなくて。
もしかして昨日も小説を書く参考になるようなデートは、できなかったんじゃないかな、って思ってたけど……。
「せ、先輩……、昨日のデート、もしかして楽しめましたか?」
「ああ、帰りもそう言っただろ?」
わかりにくいっ!
私ばっかり楽しんじゃったかもって、ちょっと反省してたけど、先輩の役に立ってたんだ!
ていうかこの小説、めちゃめちゃ恥ずかしすぎない!?
これじゃあまるで、夏目先輩が私のこと…………。
夏目先輩は相変わらず平然としている。
「俺の小説はどうだった? キュンとしたか?」
「あ、あの、これって小説、ですもんね? フィクションですよね?」
私の問いに、夏目先輩はにやっと笑って私の顔をのぞきこむ。
恋をしたことがない恋愛小説書きって、本当なんだよね……?
先輩は私の顔を、なんだか嬉しそうに見ていた。
先輩の小説、ちょっとキュンとした、かも……?