ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉
12、弱い自分にさよなら
「こんにちは!」
放送部の仮入部も五日目。
放送室に行く前に、私は中庭にある温室に寄った。
四月ももう終わりが近づいていて、入学の頃に咲いていた花々は穏やかな緑色の葉を茂らせていた。
私の声に、奥で作業をしていたらしい野田先生が、ひょこっと顔を出す。
「ああ、咲森さん、こんにちは」
「こんにちは!」
野田先生は首元に巻いていたタオルで額の汗をぬぐうと、私の元へのんびりとやってくる。
「咲森さん、なんだか今日はとっても元気だね?」
「え? そうでしょうか? いつもと変わらないと思いますけど……」
「いつもももちろん元気なんだけどね、なんだか言葉がすごくはきはきしていて、はつらつとしていると言うか」
あ、それって……!
「もしかしたら、放送部の練習のおかげかもしれません! 私、今ときめき部の放送部に仮入部していて!」
この四日間、伊瀬先輩にお腹から出す声の出し方や、言葉をきれいに発音するための活舌の練習、文章を読む練習なんかをみっちりやっていたから、自然とお腹から声を出すくせがついたのかも?
「なるほど、放送部。伊瀬くんの部だね」
「はいっ」
「いつも放送を聞いているけれど、伊瀬くんの声はきれいだねえ」
野田先生の言葉に、私もこくこくとうなずく。
「ですよね! 私もそう思います!」
そこでふと思い出す。
放送部も大会があるのに、伊瀬先輩は大会に出たことがないと言っていたこと。
それってどうしてなんだろう?
もちろん部活のすべてが大会というわけでは決してないんだけど、伊瀬先輩ならすごくいい成績をおさめられそうなのに……。
私は野田先生に挨拶すると、放送室へと向かった。