ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉
「あの、伊瀬先輩」
「う、うん?」
「伊瀬先輩は、どうして大会に出ないんですか? そんなにすてきな朗読ができるのに……」
先輩は少し困ったように、けれどゆっくり話してくれた。
「ぼ、僕ね、知ってると思うけど、人と話すのが苦手なんだ……。だからちゃんと人と話せるようになりたくて、この放送部で話す練習をはじめたんだけど……」
「そうだったんですね」
「最初はそれだけの単純な理由だったんだけど、朗読や原稿を読むのが楽しくて、どんどんはまってしまって……。人と話すのは相変わらず得意ではないけれど、マイクを通すと自然と話せる気がして、僕は放送部が大好きになったんだ」
先輩が発声や活舌の練習、文章を楽しく読んでいる姿を見て、先輩が放送部の活動が大好きなんだってことはすっごく感じてた。
「大会にももちろん興味はあるんだけど、人前で話す自信がなくて、今まで出たことがないんだ……」
「え、でも先輩、私の前ではちゃんとしゃべれてますよ? 朗読も、アナウンス原稿も、私に教えるためにいつも先に読んでくれてたじゃないですか」
お手本に、と先輩はいつも私に自分の読みを聞かせてくれてたんだ。
私の言葉に、伊瀬先輩は目をぱちくりさせる。
「た、たしかに……。だれかに見てもらいながら読んだのって、咲森さんの前がはじめてかも……」
「私の前で読めたんですから、きっと他の人の前でも大丈夫ですよ! 興味があるなら、大会に出てみてもいいと思います! 生物の野田先生も言ってました! 伊瀬先輩の放送の声がきれいだって!」
「えっ……」
「私もそう思います! 先輩の声も言葉も、とってもきれいだと思います!」
伊瀬先輩は顔を真っ赤にしてうつむく。
「あ、ありがとう……。僕なんかが、大会に出てみてもいいのかな……」
「もちろんです!」
伊瀬先輩は覚悟を決めたように、力強くうなずく。
「そ、そこまで言うなら出てみようかな、大会。まだエントリーできたと思うし……。さ、咲森さんが、応援してくれるなら……」
先輩はちらりと私をうかがって言う。
その先輩の言葉に、私も力強くうなずいた。
「もちろんです! 先輩のことめちゃめちゃ応援してますっ!」
「あ、ありがとう……! 人前で話すのはまだ緊張するけど、がんばってみるよ……!」
伊瀬先輩は顔を上げて、にこりと笑った。
人と話すのが苦手なのに、私にていねいに教えてくれた伊瀬先輩なら、絶対に大丈夫!
どんな人の前でも、先輩らしく話せるって、私はそう思うんだ!