ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉
パンフレットにはありがたいことにどの部活動がどこで活動している、って細かく教室と部活動が書いてあって迷うことはなかった。
入学式の前にこのマップが欲しかったな、なんて思っちゃう。
オーケストラ部、お菓子作り部、手芸部、美術部、ソフトボール部など、一通り興味のありそうな部活動をまわってみたんだけど、どれもなんだかしっくりこなかった。
楽しそうではあるし、実際体験させてもらって楽しくはあったんだけど、部活動として毎日やるほど好きかと言われるとわからなくて、はっきり決められずに校舎内をふらふら。
私に向いている部活動ってなんだろう?
私にはまだ、将来の夢がない。
なにをしたいとか、どんなお仕事につきたいとか、これと言ったものがまだないんだ。
もし将来の夢がきちっと決まっていたら、もしかしたらそういう部活動に迷いなく入部できたのかもしれないけど、私はまだ将来の夢を見つけられずにいた。
好きなことや夢中になれるものすら、出会ったことがないんだ……。
お父さんもお母さんも、ゆめの学院に通っているうちにきっと好きなことが見つかるよ、って言ってくれたけど……。
優柔不断な性格もあって、すぐには決められそうになかった。
そんなことを考えているうちに、気がつけば今朝迷いこんだ中庭にいて、私はまたあの透明な壁に囲まれた温室の前にいた。
温室の扉が開いていたので、私はちらりとその中をのぞき見る。
外からは見えなかった木々や草花が部屋中を埋めつくしていて、暖かな夕陽がぽかぽかと気持ちいい。
「だれがお世話をしてるんだろう……?」
花々は生き生きとしていて、なんだか嬉しそう!
空気が澄んでいて、すごく落ち着く空間だった。
気持ちがいいな、って大きく深呼吸していると、木々の合間からひょこっと麦わら帽子の男の人が現れた。
「わっ!」
私が驚きの声を上げると、先生らしき人は申しわけなさそうに頭を下げた。
「ごめんごめん、驚かせちゃったかな?」
先生らしき人はぽりぽりと頬をかく。
「あ、いえ、すみません。勝手に入ってしまって……」
「いいんだよ、みんなも見てもらった方が喜ぶよ」
先生? は、花々を見回してにこりと微笑む。
「新入生かな?」
「は、はい! 咲森 みのりと言います」
「咲森さん。私は生物教諭の野田、と言います。二年生になったら、もしかしたら授業を受け持つことになるかもしれないね」
「野田先生、よ、よろしくお願いしますっ」
私があわてて頭を下げると、野田先生は穏やかな笑顔を浮かべる。
「あ、あの、野田先生がこの温室を管理されているんですか?」
「今はね。昔は園芸部なんかがあって、生徒と一緒に世話したものだけどね。今はなくなっちゃったから……」
「そう、なんですね……」
一人でお世話をするのは、すごく大変そう……。
「咲森さんは、部活の体験入部中かな?」
野田先生に言われて、私ははっと思い出す。
「そうでした! 見学にまわっているところでした……!」
私はあわてて回れ右をしようとして、野田先生を振り返った。
「あ、あの、また遊びに来てもいいですか……?」
「もちろん」
「あ、ありがとうございます……っ」
私は野田先生に頭を下げると、温室を後にした。