ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

 一時間後。

 私は多目的教室の黒板の前に立って、マイクをにぎっていた。
 隣には、真っ青なエレキギターを肩にかけた、六崎先輩。
 目の前には、並べられた椅子に座る、ときめき部のメンバー。

 ど、どうしてこうなったの!?!?

 六崎先輩に鼻歌を聞かれた私は、先輩に歌ってみないか、と言われた。

 先輩が演奏するエレキギターに合わせて、私が歌うというもの。
 曲は誰もが知っている今はやりのJポップで、もちろん私も知っていた。

 でもこんなふうにみんなの前で歌うことになるとは思っていなくて、心臓がばくばく言いっぱなしだった。


「行くぞ、咲森」
「は、はい!」


 ときめき部の先輩たちに、星名くんまでわくわくした表情で私たちを見つめている。

 六崎先輩がエレキギターをジャーンっと奏ではじめて、私はそれに合わせて歌った。
 緊張してちょっと声が震えちゃったけど、伊瀬先輩に教わった声の出し方を使って、最後までのどを痛めることなく、歌いきることができた。

 教室中にぱちぱちと拍手がわき起こって、私はほっと胸をなでおろした。
「サイコー!!」と千景先輩が立ち上がる。
 夏目先輩も、伊瀬先輩も星名くんも、たくさん拍手してくれた。


「咲森、ありがとう!」


 六崎先輩が、私をぎゅっと抱きしめる。


「ふえっ!?!?」


 驚いた私は、変な声を上げてしまった。
 六崎先輩は興奮したみたいに、力強く私の肩を叩く。


「すごくよかった!! 一度ボーカルありで演奏してみたかったんだ! すごくすごく楽しかったぞ!!」
「よ、よかったです!?」


 先輩の熱量に驚きながら、私はわたわたすることしかできなかった。

 さすが六崎先輩。ロック好きとあって、とっても熱い先輩だ……!


「ちょっと~? 先輩、俺のみのりちゃんを勝手にハグしないでくれる?」
「どうして三滝のなんだ、咲森は俺のだろう」


 さらっと言われた千景先輩と夏目先輩の言葉に、私はますます混乱する。

 なにを言っているのですか先輩たち!?


「さ、咲森さんも困ってるから……」と伊瀬先輩が間に入ってくれる。

 星名くんは驚いたみたいに目を丸くして、先輩たちのやり取りを見ていた。


 軽音楽部の体験入部も、こうして最終日をむかえ、とっても楽しめたのだった。




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