手を、つないで
8.航
オートロックの扉が閉まる。
彼女は、扉が閉まる瞬間まで俺を見ていてくれた。
顔色は、少し落ち着いてピンクの頬。
……だから可愛過ぎだって。
追いかけて抱きしめて、離したくない。
でも大事にしたい。するって決めた。
呪いたいほど口下手な自分の告白でも、彼女は受け止めてくれた。
付き合う。
彼女が。俺と。
まだ信じられない。
でも、ついさっきまで、手をつないでた。彼女の手のあったかさは、まだ残ってる。
小さくてやわらかくて、驚いた。
『私も信じられませんけど』
同じことを思ってた。
嬉しくて、笑った。彼女も笑った。
あんな風に笑う彼女を見たことがなかった。
『また明日』
何でもない、ごく平凡な挨拶が、特別になる。