一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
束縛?独占欲?愛の重さ
次の日――。
足取りは重いが、私は退勤後に新から指定のあったカフェへ向かっている。
二人で通っていたカフェってここしかない。
会社から徒歩五分ほど、裏路地にある昔ながらのカフェ。アンティーク調の落ち着いた店内、付き合う前、新とはここで待ち合わせをして珈琲を飲んだり、仕事の愚痴を言い合っていたのに。
あの時は楽しかった。だけど、戻りたいだなんて思わない。
すぅっと息を吸い、店内へ入る。
お店を見渡すと数組の客と共に、新の姿があった。私に向かって手を振っている。
私は席へ座りすぐに珈琲を注文した。時計だけ返してもらい、さっさと珈琲を飲んで、一刻も早く帰りたい。
「時計は?」
「そう急かすなよ」
新はカバンから取り出したギフトボックスをテーブルの上に置いた。
「ありがとう」
私がボックスを返してもらおうとすると
「ちょっと。落ち着けって」
新はボックスを自分で持ち、私の手を避けた。
「どうして?私のだもん」
本当は声を大にして強引にでも取りに行こうとしたいが、この店内の雰囲気でそんな行動はできない。大人なんだ、お店にも迷惑がかかる。
「小春、やり直さないか?」
新からの言葉に口がポカンと開いてしまった。
やり直すってなにを?今さら何を言っているの?
「はっ?何を言ってるのかわかってる?あなたは瑠璃さんと結婚するんでしょ。それに私には真宮さんがいるの。やり直すわけないじゃん」
落ち着け自分、新は何か考えているはずだ。本気で私とやり直そうなんて思っていないはず。
「俺が全部悪かった。小春がいなくなって、大切なものに気づかされたんだ」
新は深く頭を下げた。
プライドの高い新が頭を下げている。考えられない。
「瑠璃さんと婚約してるんでしょ?」
「……。瑠璃はたしかに仕事はできるし、キレイだ。だけど金銭感覚が合わない。それに料理どころか、家事がまともにできない。小春は俺が言わなくても、俺が文句を言っても毎日作ってくれたし、疲れているからって家事もやってくれた。小春のありがたさが今になってわかった」
「俺が悪かったところも直す。だからもう一度付き合ってくれ。俺には小春がいなきゃダメなんだ」
新に真っすぐ見つめられる。
その言葉、あの時、別れてからすぐに言ってくれたのならなんて嬉しかっただろう。
「うん」と涙して答えたかもしれない。
「私も悪かったところ直すから。ごめんね」なんて謝っていたかもしれない。
だけど今は、心に何も響かない。
小春が居なきゃダメだと思うんなら、どうして社内で私にあんな態度が取れるの?
復縁を考えてくれているのであれば、先日の懇親会で瑠璃さんと仲睦まじい姿を見せつけるなんてことしなかったはず。
新の本当の目的が何かわからないけれど
「無理です。早く時計を返して」
動揺することない姿を見せて、新には全くその気がないことを理解してもらうしかない。
揺るがない私を見て
「わかった。今日はこれで引くけど、俺は諦めないから」
新はギフトボックスをスッと私の方へ差し出す。
ボックスを開けると、確かに母に買ってもらった時計が入っていた。
良かった。ふぅと力が抜けたがもう帰りたい。
私はいつの間にか運ばれていた珈琲を急いで飲み
「さよなら」
財布から千円札を取り出しテーブルの上に置いた。
「もう帰るのか?」
「うん」
もっとゆっくりしていけばいいのにという新の声をうしろに、退店する。
無事に戻ってきて良かった。
スマホを見ると、詩音さんから着信があった。
どうしたんだろう。
足取りは重いが、私は退勤後に新から指定のあったカフェへ向かっている。
二人で通っていたカフェってここしかない。
会社から徒歩五分ほど、裏路地にある昔ながらのカフェ。アンティーク調の落ち着いた店内、付き合う前、新とはここで待ち合わせをして珈琲を飲んだり、仕事の愚痴を言い合っていたのに。
あの時は楽しかった。だけど、戻りたいだなんて思わない。
すぅっと息を吸い、店内へ入る。
お店を見渡すと数組の客と共に、新の姿があった。私に向かって手を振っている。
私は席へ座りすぐに珈琲を注文した。時計だけ返してもらい、さっさと珈琲を飲んで、一刻も早く帰りたい。
「時計は?」
「そう急かすなよ」
新はカバンから取り出したギフトボックスをテーブルの上に置いた。
「ありがとう」
私がボックスを返してもらおうとすると
「ちょっと。落ち着けって」
新はボックスを自分で持ち、私の手を避けた。
「どうして?私のだもん」
本当は声を大にして強引にでも取りに行こうとしたいが、この店内の雰囲気でそんな行動はできない。大人なんだ、お店にも迷惑がかかる。
「小春、やり直さないか?」
新からの言葉に口がポカンと開いてしまった。
やり直すってなにを?今さら何を言っているの?
「はっ?何を言ってるのかわかってる?あなたは瑠璃さんと結婚するんでしょ。それに私には真宮さんがいるの。やり直すわけないじゃん」
落ち着け自分、新は何か考えているはずだ。本気で私とやり直そうなんて思っていないはず。
「俺が全部悪かった。小春がいなくなって、大切なものに気づかされたんだ」
新は深く頭を下げた。
プライドの高い新が頭を下げている。考えられない。
「瑠璃さんと婚約してるんでしょ?」
「……。瑠璃はたしかに仕事はできるし、キレイだ。だけど金銭感覚が合わない。それに料理どころか、家事がまともにできない。小春は俺が言わなくても、俺が文句を言っても毎日作ってくれたし、疲れているからって家事もやってくれた。小春のありがたさが今になってわかった」
「俺が悪かったところも直す。だからもう一度付き合ってくれ。俺には小春がいなきゃダメなんだ」
新に真っすぐ見つめられる。
その言葉、あの時、別れてからすぐに言ってくれたのならなんて嬉しかっただろう。
「うん」と涙して答えたかもしれない。
「私も悪かったところ直すから。ごめんね」なんて謝っていたかもしれない。
だけど今は、心に何も響かない。
小春が居なきゃダメだと思うんなら、どうして社内で私にあんな態度が取れるの?
復縁を考えてくれているのであれば、先日の懇親会で瑠璃さんと仲睦まじい姿を見せつけるなんてことしなかったはず。
新の本当の目的が何かわからないけれど
「無理です。早く時計を返して」
動揺することない姿を見せて、新には全くその気がないことを理解してもらうしかない。
揺るがない私を見て
「わかった。今日はこれで引くけど、俺は諦めないから」
新はギフトボックスをスッと私の方へ差し出す。
ボックスを開けると、確かに母に買ってもらった時計が入っていた。
良かった。ふぅと力が抜けたがもう帰りたい。
私はいつの間にか運ばれていた珈琲を急いで飲み
「さよなら」
財布から千円札を取り出しテーブルの上に置いた。
「もう帰るのか?」
「うん」
もっとゆっくりしていけばいいのにという新の声をうしろに、退店する。
無事に戻ってきて良かった。
スマホを見ると、詩音さんから着信があった。
どうしたんだろう。