夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

第10話 イルミネーションの下で交差する思惑

 内勤のみとなってから三週間目を迎えている。
 始めの一週間くらいは無言電話も続いていたが、ぱたりとなくなってから十日ほど過ぎた。

 最近は真奈さんのお店にも行っていないし、勤務時間以外は基本的に渉さんと一緒にいる。渉さんがどうしても遅くなる日は、店長が車を出して送ってくれることだってある。
 贅沢なボディーガードがついているような状況だし、もしかしたら私に付き纏うのが時間の無駄と、気付いたのかもしれない。

 そもそも、アークス&リベラスの弁護士を敵に回すなんて、一般常識的に考えたらあり得ないわよね。バーで初めて遭遇した日だって、あの男は渉さんの名刺を見て怖気づたのか、尻尾を撒いて帰ったわけだし。

 店頭に余っているパンを袋に詰めてサービス品を用意しながら、もしかして諦めたのかもと考えていると、奥さんが声をかけてきた。

「百香ちゃん、今日は佐伯さんの迎えが遅くなるのよね」
「はい。そこまで遅くならないっていってましたけど……」
「けど?」

 消毒を終えたトレーとトングを店頭の棚に置いた奥さんは、小首を傾げた。その横に体を寄せて「あの」と声をひそめれば、奥さんは内緒の話だと察してくれた。
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