夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 きっと、奥さんが渉さんに連絡をしてくれている。私の位置を把握して、きっと駆け付けてくれる。だから、今は時間を稼ぐしかない。

「だけど、毎日毎日、あの弁護士が張り付いていて、マンションにも帰らなくなって……バーにも来なくなったよね。寂しかったよ」

 にたりと笑った顔を見て、ボンベイサファイアの青いボトルが脳裏をよぎった。

「……やっぱり、あのボトルと割れたグラスは貴方の仕業ね」
「仕業なんていい方は傷つくな! 仕事を頑張っている百香ちゃんへのプレゼントじゃないか。二人で飲んだジントニック、美味しかったよね」
「なにをいってるの。貴方とお酒を飲んだことなんてないから!」
「忘れちゃったの? あの日、せっかく同じものを頼んだのに、途中で帰っちゃうんだもんな。それも、あの弁護士と一緒に」

 バーで会った二度目の夜が脳裏をよぎった。だけど、男の言い分は全く理解ができない。全く会話が成立していない。

「あの弁護士に、言いくるめられて軟禁されてるんだろう? 今日だって、オバサンの監視付きだった」
「違う! そんなの貴方の勝手な思い込みよ!」
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