夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「お前が百香の側から消えるまでだ」
「くそっ、俺はなにもしていない! その女が俺を誘ったんだろ。なのに、二股かけやがって!!」

 男は好き勝手に自分が被害者だと叫ぶ。
 いつの間にかできた人だかりが、ざわざわと騒がしくなった。

「沼田正志。ストーカー規制法、脅迫罪、ならびに東京都迷惑防止条例違反で訴える用意がある」
「どこに証拠がある!」
「あります!」

 誰よりも大きな声で叫ぶと、男と渉さんの視線が私に向いた。
 鞄に下がるマスコットを外し、突きつける。
 
「さっきの会話、全部録音しています。貴方が店に無言電話をかけ続けたことも、私を脅すために物を送り付けたことも、全部!」

 遠くからサイレンの音が近づき、辺りが一瞬しんと静まり返った。
 男はギリッと歯を噛み鳴らして背を丸めた。

 観念したかと思った瞬間だった。勢いよく頭を振り上げ、渉さんに頭突きをし、腕が緩んだすきに手を私へと伸ばした。

 ──捕まる!
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