夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 とっさに身を固くして目を瞑ったが、男の手が私に届くことはなかった。

 男の「放せ!」という叫びにハッとして目を開けると、歩道に倒されて押さえつけられる姿が飛び込んだ。その背に膝を乗せて動きを封じる渉さんは、見たこともない鋭い眼差しを男に向けていた。

「傷害罪と強盗罪も追加だな。……せいぜい腕の立つ弁護士を探すんだな」

 冷やかな声が男に向けられ、群衆の中からは「お巡りさん、こっちです!」と声がした。
 男は愛してるとか騙したなとか、都合のいい言葉を喚き散らし続けたが、渉さんはなにも答えなかった。
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