夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 遠くからサイレンが近づいてきて、運転手さんはブレーキを踏んだ。

「すみません。この先で事後かあったみたいで、ルート迂回しますね」

 会話に入るのを申し訳なさそうな顔をして、運転手さんはこちらを振り返った。渉さんが、わかりましたと頷くと、再びタクシーは動き出した。

「……あの、渉さん。お母さんといつ話したんですか?」
「渡米する前だよ。ほら、時々だけど百香ちゃんの勉強を見ていただろう。それでお礼に来てくれてね。おかげさまで浪人することなく進学できますって、いわれたんだ」

 その時に進学先も聞いたのだと教えられ、ショックに目の前が暗くなった。
 渉さんには、知られたくなかったのに。だから、連絡を絶ったのに。

 お母さんに裏切られたような気がした。胸が苦しくて、涙があふれてくる。

「百香ちゃん、気分が悪いのか?」

 私の様子がおかしいと気付いたのだろう。渉さんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「──!? な、なんでもない、です。大丈夫」
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