夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 夢を諦めた私なのに、渉さんの横にいていいのかな。

「……私で、いいんですか?」
「ずっと百香ちゃんが俺の支えだった。正義感が強くて、優しくて頑張り屋で」

 指が絡み合い、離さないというように強く握りしめられた。

「オジサンの最後の恋、叶えてくれるかな?」

 甘いお願いに鼓動が早まる。
 声が出なくて、ただ小さく頷くと、熱い吐息が唇に触れた。最初は柔らかく、確かめるようだった口づけが、深くなっていく。
 初めての口づけにどうしたらいいかわからず、気持ちと呼吸が乱されていった。

 唇を離した渉さんは、熱い眼差しを私に向けて「百香ちゃん」と、噛み締めるように呼ぶ。

「五年前みたいに、突然、連絡を絶たないでくれよ」

 私の肩を抱きしめた渉さんに小さく「はい」と頷き、包まれる温もりに頬を押し付けて熱くなった顔を隠した。
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