意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて
しかしその声明は表の顔にすぎない。

水面下では、
より具体的な動きが始まっていた。
駐ドラゴニア大使を通じ、
ソラリス王国はビンセントと正式に接触する。
・情報網の共有
・安全な連絡経路の確立
・支持貴族の洗い出し
・非常時の亡命・保護の打診
それらはすべて、
一つの目的に収束していた。
――ビンセントを皇帝に擁立するため。

アウレリオは、
王宮の執務室で報告書を読みながら、
静かに言った。
「もう後戻りはできないな」
ラジワは彼の隣で頷く。
「ええ。でも……これでいいの」

彼女は窓の外、
太陽に照らされた王都を見つめた。
「帝国が変わらなければ、きっと、もっと多くの人が傷つく」

そして静かに呟く。
「……ビンセントなら、きっとやってくれる」

二人は、
同じ未来を見据えていた。
だが同時に知ってもいた。
――クレオールが、
このまま黙っているはずがないことを。
< 108 / 125 >

この作品をシェア

pagetop