夜明けが世界を染めるころ
ま、まさか――あのセナ副団長に、か、彼女!?

と思ったのも束の間、テオ先輩がその女性に抱きつく。

え!?どういうこと!?三角関係!?
それともテオ先輩の彼女!?
そしてセナ副団長も彼女のことが……!?」

頭がパニックになる。
セナ副団長のあの優しい表情にも驚いたが、テオ先輩にも驚く。

普段から気怠げで、のらりくらりとしていて、人に心を許さず、絶対的にガードが硬い人。
必要最低限の会話しかせず、誰も信用していないし、信用されなくても構わないと思っている人物。

そんなテオ先輩が、あんな笑顔で――
まるで猫がご主人にすり寄るように、しっぽを見せるかのような無防備さだ。

呆気に取られていると、ロベルト先輩が声をかけてきた。

「アレン、初めて見るのか?
テオのやつ、すごい変貌ぶりだろ?
お嬢様にしか懐いてないけどな」

「お嬢様?っていうことは、ティアナお嬢様ですか?」

「そっか、初めてお嬢様に会うのか」

ロベルト先輩と話していると、

「誰か、そこの木箱の横に置いてある木剣を持ってきて」

「はい!」

そう声をかけられ、新人である自分の出番だと思い、素早く木剣を手に取る。
他のものよりもきれいで丈夫そうなものが分けて置かれていた。

ロベルト先輩が背中を軽く押す。

「ちょうどいい。挨拶もしてこい!」

持っていった木剣をセナ副団長に渡し、ティアナお嬢様がそれを受け取る。
そして、その目線が木剣から俺に向けられた。

「君は、入ったばかりの新人のアレンくんかな」

「へっ!は、はい。アレンと申します。コナミ村出身です。よろしくお願い致します!」

声をかけられるとは思わず、さらに自分の名前を知っていたことに驚き、素っ頓狂な声を出してしまった。
慌てて、失礼のないように深く勢いよくお辞儀をする。

ティアナお嬢様は丁寧に自己紹介をしてくださり、俺の出身であるコナミ村も知っているようだった。
小さな村なので、まさか知っているとは思わなかった。
しかも、リンゴが盛んにとれることまでご存じで――賢い方なんだな、と正直驚く。
嬉しくて、つい食い気味に話してしまった。
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