夜明けが世界を染めるころ
翌朝、私は会いに行った。
銀髪の彼――

私の護衛騎士。
強くて、かっこいい。
剣を振る彼の姿がみえ安心する。

「セナ」
私の呼び声に振り向く。

「お嬢様」

「少し散歩しながら話さない?」

彼の口元が、優しく緩む。
思わず私も微笑む。

「ええ、喜んで」

ガーデンに足を踏み入れる。
周囲に誰もいないことを確認して、静かに歩く。

「実は、セナにお願いがあって……」

「何でしょう?」

少し躊躇しながらも、私は口を開く。

「あと、嫌だったら断って……」

じっとセナを見つめる。
セナなら、断らない。
でも、もしものことを考えれば――嫌なら断ってほしい。

「お嬢様、俺からも一つ」

「なに?」

「その選択肢は、この先俺にはありません。
貴女が望むのなら、何でもする」

「そういうと思ったから、先に断ってもいいって言ったのに」

胸の奥が、じんわり熱くなる。
セナは絶対に断らない――けれど、少しでも自分の身を案じてほしかった。

私は深く息を吸い、覚悟を固める。
そして、ゆっくり話し始めた。

母の死の謎。
蝶の会の存在。
魔女の雫や、魔女の紅血。
そして私のこと。

セナは黙って私の目を見つめ、ただ静かに聞いてくれた。
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