夜明けが世界を染めるころ
ディランは目を閉じたまま、ゆっくりと呼吸を整える。
これまで、彼女を遠くから見守るだけで満足してきた自分。
それでも、10年という歳月は、ただ手をこまねいているだけでは済まされないことを教えていた。

――俺は、彼女と向き合わなければならない。

心の中で決意を固めながらも、胸の奥に一抹の不安がよぎる。
彼女が大切だから、危険に巻き込みたくない――そう思う自分と、
彼女の力が必要だ、共に戦わなければならない――そう考える自分が揺れていた。

しかし、彼女はとうに覚悟を決めている。
この強い子は、もう迷わない。
ならば、俺も覚悟を持って向き合うしかない。

――一緒に戦おう。

目を開けると、まだ眠るティアナ嬢の顔がそこにある。
その寝顔を見て、微かに笑った。
俺の前で泣いたり、迷ったり、全部見せてほしい。
言葉には出さない。ただ、行動で示す。日々の小さな積み重ねで。

これまでのように、本をこっそり渡すだけの遠回しの方法ではなく、
正々堂々と直球で向き合おう。
彼女にとっても、そして自分にとっても、それが何より大切だと理解していた。

そして、心の奥底で一つ強く思う。

――ティアナ、俺はお前にとっての一番になりたい。

「本気でいかせてもらうよ」

呟きとともに、彼は心を引き締めた。
これからは、彼女と共に歩み、戦い、守り抜く――その覚悟が、胸に確かに宿っていた。
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