夜明けが世界を染めるころ
セナside
――ふざけるな。
最初に浮かんだのは、それだけだった。
殿下が跪いた瞬間。
周囲が凍りつき、次の瞬間には阿鼻叫喚に変わった、あの光景。
「……婚約?」
口に出す気にもならなかった。
第一王子。
王国。
政治。
責任。
全部、理解できる。
理解できるからこそ、余計に腹が立つ。
(昨日の今日で?)
(蝶の会の後始末も終わっていない)
(あいつは――)
無意識に、剣の柄を握っていた。
ティアナが、逃げなかったのを見た瞬間。
胸の奥が、ぎり、と軋んだ。
止める権利は、俺にはない。
彼女が選ぶと決めたことだ。
それでも。
「……巻き込むなよ」
誰にも聞こえない声で、そう呟く。
殿下を見る目が、自然と鋭くなる。
信用は、していない。
だが――昨夜、あの男が背負ったものの重さも、理解してしまった。
だからこそ、余計に厄介だ。
(守る対象が、増えたな)
そう思った瞬間、自嘲気味に息を吐く。
俺は騎士だ。
選ばれた“駒”じゃない。
だが、彼女が立つ場所が、さらに危険になるなら――
剣を引く理由は、どこにもなかった。
――ふざけるな。
最初に浮かんだのは、それだけだった。
殿下が跪いた瞬間。
周囲が凍りつき、次の瞬間には阿鼻叫喚に変わった、あの光景。
「……婚約?」
口に出す気にもならなかった。
第一王子。
王国。
政治。
責任。
全部、理解できる。
理解できるからこそ、余計に腹が立つ。
(昨日の今日で?)
(蝶の会の後始末も終わっていない)
(あいつは――)
無意識に、剣の柄を握っていた。
ティアナが、逃げなかったのを見た瞬間。
胸の奥が、ぎり、と軋んだ。
止める権利は、俺にはない。
彼女が選ぶと決めたことだ。
それでも。
「……巻き込むなよ」
誰にも聞こえない声で、そう呟く。
殿下を見る目が、自然と鋭くなる。
信用は、していない。
だが――昨夜、あの男が背負ったものの重さも、理解してしまった。
だからこそ、余計に厄介だ。
(守る対象が、増えたな)
そう思った瞬間、自嘲気味に息を吐く。
俺は騎士だ。
選ばれた“駒”じゃない。
だが、彼女が立つ場所が、さらに危険になるなら――
剣を引く理由は、どこにもなかった。