夜明けが世界を染めるころ
ディランが小さなケースを開く。
中には、掌に収まるほどの小さな魔宝具が収まっていた。

「これを君に渡す」

ディランが手のひらに乗せると、魔宝具は淡く青い光を放ち、微かに振動する。
見るからに精密な作りで、装飾は最小限。だが、その存在感は圧倒的だ。

「魔宝具……ですか?」

「うん。通信機能を持っている」
彼の声は落ち着いているが、鋭い意思が宿る。

「こんな小さいもので」

「必要な機能だけを絞った。軽くて携帯できる。戦場でも作戦でも、私たちの連絡手段として使う」

ディランの指が軽く触れ、魔法具が柔らかく光を変える。
その光を見つめると、言葉にできない安心感が胸に広がった。

「使い方は簡単だ。君が魔宝具に魔力をそそげば、私のところと結びつく。声も映像も届けられる」

「……映像も?」

「もちろん。危険な場所でも、君の安全を確認できる」

小さな魔宝具を手に取り、私は軽く握る。
青い光が手のひらを温かく包む。

「これで、離れていても連絡を取り合えるわけですね」

「その通りだ。君が危険に晒されそうになったら、すぐに知らせてくれ。
何でもないときでもいい。気軽に連絡してくれ」

彼の視線が、私の目をまっすぐ見つめる。

「わかりました。大切に使います」

「それでいい」

ディランが微かに笑い、ケースを閉じる。
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