夜明けが世界を染めるころ

真夜中。

身体が、やけに熱い。

ぼんやりと意識が浮かび上がり、
喉の渇きに気づく。

「……ん……」

寝返りを打とうとして、
思った以上に力が入らず、眉をひそめた。

「……ティアナ?」

低く、静かな声。

薄く目を開けると、
ランプの灯りの中、
ディランがすぐそばにいた。

「……ディラン……?」

「起こしてしまったかな」

そう言いながら、
額に手を当てられる。

一瞬、
その手が止まった。

「……熱が、上がっているね」

「……ごめんなさい……」

反射的にそう言うと、
彼は小さく息を吐いた。

「謝らなくていい」

グラスを差し出され、
支えられながら水を飲む。

……冷たくて、
少し、ほっとする。

「夜はね、
身体が正直になる」

穏やかな声。

「無理をしていた分、
きちんと表に出てきただけだ」

「……でも……」

言葉を探していると、
指先が、そっと頬に触れた。

「今は、
何も考えなくていい」

「君は、
弱っていていい」

その言葉に、
胸の奥が、きゅっとする。

「……でも、弱っているところ、
見られたくない」

「どうして?」

「……なんか、
あとが怖い……」

「何それ」

ふふっと、
小さく笑う。

「大丈夫だよ」

「弱っているところも、
ダメなところも」

「全部、見せていい」

「……ねえ」

自分でも驚くほど、
声が、幼くなっていた。

「……ここに、いて」

ディランの動きが、
ぴたりと止まる。

一瞬の沈黙。

そして、
小さく、笑った。

「最初から、
そのつもりだよ」

椅子を引き寄せ、
私の手を包む。

「逃げる理由が、
どこにある?」

……ずるい。

「……手、大きい」

「君の手は小さいね」

そう言って、
指先を確かめるように包み直す。

「でも、
頑張っている手だ」

離そうとしない。
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