夜明けが世界を染めるころ
「……では殿下も、守る対象なのですね」

「結果的にね。
彼が生きてる限り、お嬢さまは“選べる”。
でも もし誰かが、その選択肢ごと奪おうとするなら――
その時は、昔の俺が帰ってくる」


闇の中で、黒狼は眠っている。
起こす鍵は、ただ一つ――ティアナ様。

その時、地面に残る轍が視界に入った。

「施設用馬車です。重さが一定、定期運行」

「うわ、嫌な匂いしかしない」

やがて、紋章のない馬車が森へと消えていく。

「魔力遮断。外装は古いが中身は最新……」

「真っ当じゃないね、これ」

森の奥。結界の歪み。

私は静かに告げた。

「……場所、ほぼ特定できました。
 ガイル側の研究施設です」

テオは木にもたれて笑う。

「あーあ。絶対面倒なやつ」

2人は短く頷き合い、闇の奥へと溶けていった。
その先に待つのが、守るべき未来か、引き返せない夜か――
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