夜明けが世界を染めるころ
ディラン side
セナが目を覚ましたらしい。
扉の向こうから、彼女の声が聞こえてくる。
「……初恋だったの」
その一言で、胸の奥が鈍く痛んだ。
ああ、そうか。
やはり――セナだったか。
分かっていた。
分かっていたはずなのに、実際に言葉として聞くと、思った以上にきつい。
廊下の壁にもたれている影に目を向ける。
テオだ。
腕を組み、俯いたまま、黙って聞いている。
「君は……止めに入るかと思ってたよ、テオ」
声をかけると、テオは一瞬だけ目を伏せた。
「……さすがの俺も、そんなことしない」
ぶっきらぼうな返事。
だが、その声はわずかに掠れていた。
「初恋だって言われてさ」
低く、続ける。
「そこで割り込むほど、ガキじゃない」
……強がりだな。
だが、それ以上に誠実だ。
彼女の声が、また聞こえる。
涙をこらえている声だ。
胸が締めつけられる。
守りたいと思う気持ちと、
踏み込めない現実が、静かにせめぎ合う。
「君も……」
私は言いかけて、やめた。
テオは何も言わない。
ただ、拳をぎゅっと握りしめている。
――2人とも、同じだ。
彼女が好きで、
だからこそ、この瞬間を壊せない。
「……彼女は、前に進んだ」
私の言葉に、テオは小さく頷いた。
「だったら俺たちも」
言葉はそれだけで十分だった。
扉の向こうで、彼女が笑った気配がする。
少し、安心したような声。
……ならいい。
胸の痛みごと、受け止めよう。
彼女が選んだ道を、
静かに見守るために。
今は、それでいい。
セナが目を覚ましたらしい。
扉の向こうから、彼女の声が聞こえてくる。
「……初恋だったの」
その一言で、胸の奥が鈍く痛んだ。
ああ、そうか。
やはり――セナだったか。
分かっていた。
分かっていたはずなのに、実際に言葉として聞くと、思った以上にきつい。
廊下の壁にもたれている影に目を向ける。
テオだ。
腕を組み、俯いたまま、黙って聞いている。
「君は……止めに入るかと思ってたよ、テオ」
声をかけると、テオは一瞬だけ目を伏せた。
「……さすがの俺も、そんなことしない」
ぶっきらぼうな返事。
だが、その声はわずかに掠れていた。
「初恋だって言われてさ」
低く、続ける。
「そこで割り込むほど、ガキじゃない」
……強がりだな。
だが、それ以上に誠実だ。
彼女の声が、また聞こえる。
涙をこらえている声だ。
胸が締めつけられる。
守りたいと思う気持ちと、
踏み込めない現実が、静かにせめぎ合う。
「君も……」
私は言いかけて、やめた。
テオは何も言わない。
ただ、拳をぎゅっと握りしめている。
――2人とも、同じだ。
彼女が好きで、
だからこそ、この瞬間を壊せない。
「……彼女は、前に進んだ」
私の言葉に、テオは小さく頷いた。
「だったら俺たちも」
言葉はそれだけで十分だった。
扉の向こうで、彼女が笑った気配がする。
少し、安心したような声。
……ならいい。
胸の痛みごと、受け止めよう。
彼女が選んだ道を、
静かに見守るために。
今は、それでいい。