夜明けが世界を染めるころ
トワと別れて部屋に戻ってきた。

「お嬢様、お戻りですか」

「うん、少し身体を動かしてきたの。だいぶ鈍ってたから」

「そうでしたか」

ユウリは相変わらず落ち着いた声で頷く。

私は少し間を置き、低めの声で話し始める。
「ユウリ、あの宝石事件について、最近何か噂を聞かない?」
ユウリは軽く眉を上げ、少し考える素振りを見せる。

「噂……といいますと、お嬢様。表立って話題にはなっておりませんが、貴族や商人の間で“密かに動いている人物がいる”という話は聞きます」

「なるほど……やっぱり裏で動いている人がいるんだね」
私は小さく息を吐き、視線を遠くに向ける。

「噂の出どころを少し探ってみたいんです。ユウリ、協力してくれる?」

「もちろんです。お嬢様のお考えの通りに動きましょう」

「じゃあ、行きつけのブティックに行こうかと思うの。そこなら、貴族や商人がちょっとした情報を耳にすることもあるし」
ユウリは頷き、静かに答える。

「承知しました。それでは、お支度が整い次第、出発いたしましょう」

私は軽く微笑む。
「ありがとう、ユウリ。頼りにしてる」

ユウリと入れ替わり入ってきたアリスが着替えを手伝ってくれた。
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