夜明けが世界を染めるころ
「……本当に、顔色が良くなった」
まるで確かめるように、じっと見つめられる。
「そんなに見なくても」
「いや」
即答だった。
「ずっと熱と呼吸の変化を見ていたから」
「……それ、看病通り越してない?」
「通り越していた自覚はある」
少し困ったように笑う。
「君が眠っている間、何度も確認した」
「起こさないように、呼吸の音だけを聞いて」
その言葉に、胸がきゅっと締まった。
「……心配、かけちゃったね」
「かけてくれ」
静かな声だった。
「心配させてくれるほうがいい」
「何も言わず倒れられるより、ずっと。
だから今日は、君が起きて歩いているのを見て……」
視線が、少しだけ伏せられる。
「安心した」
それだけ言って、またこちらを見る。
「無理は、しないでくれ」
「うん」
「強くなるためでも、誰かを守るためでも、
君自身を壊すほどのことは、しなくていい」
私は小さく笑った。
「それ、前は言わなかったよね」
「前は……」
一瞬、言葉を探す。
「君が止まらない人だと、知っていたから。
止めるより、隣で走るしかないと思っていた」
でも、と続ける。
「今は違う」
「熱でうなされ辛そうな時間があまりに長かった」
指先が、そっと私の手の近くに落ちる。
触れそうで、触れない距離。
「……二度と、あんな顔は見たくない」
ディランの瞳が刹那気に揺れる。
まるで確かめるように、じっと見つめられる。
「そんなに見なくても」
「いや」
即答だった。
「ずっと熱と呼吸の変化を見ていたから」
「……それ、看病通り越してない?」
「通り越していた自覚はある」
少し困ったように笑う。
「君が眠っている間、何度も確認した」
「起こさないように、呼吸の音だけを聞いて」
その言葉に、胸がきゅっと締まった。
「……心配、かけちゃったね」
「かけてくれ」
静かな声だった。
「心配させてくれるほうがいい」
「何も言わず倒れられるより、ずっと。
だから今日は、君が起きて歩いているのを見て……」
視線が、少しだけ伏せられる。
「安心した」
それだけ言って、またこちらを見る。
「無理は、しないでくれ」
「うん」
「強くなるためでも、誰かを守るためでも、
君自身を壊すほどのことは、しなくていい」
私は小さく笑った。
「それ、前は言わなかったよね」
「前は……」
一瞬、言葉を探す。
「君が止まらない人だと、知っていたから。
止めるより、隣で走るしかないと思っていた」
でも、と続ける。
「今は違う」
「熱でうなされ辛そうな時間があまりに長かった」
指先が、そっと私の手の近くに落ちる。
触れそうで、触れない距離。
「……二度と、あんな顔は見たくない」
ディランの瞳が刹那気に揺れる。