夜明けが世界を染めるころ
エマが小さく身じろぎした。
「……ん……?」
伏せていた瞼がゆっくりと開く。
焦点が合うまで少し時間がかかり、それから、はっと息をのんだ。
「サラ……?」
「エマ!」
扉が開く音と同時に、駆け寄ってきたのはよく似た顔の少女だった。
髪の結び方も、表情も違うのに、並べば一目で双子だとわかる。
サラはエマの肩を掴み、顔を覗き込む。
「大丈夫!? 急に倒れたって聞いて……」
「う、うん……頭が少し、ぼうっとするけど……」
エマはゆっくりと上体を起こし、胸元に手を当てた。
そこには、もう何の違和感もない。
「……あれ?」
不思議そうに眉を寄せる。
「胸が……軽い」
私は一歩下がり、様子を見守った。
ルイも余計な口は挟まない。
サラは私に向き直り、深く頭を下げた。
「ありがとうございます。
エマを助けてくれたって……」
「命に別状はないよ。少し休めば大丈夫」
サラはほっと息をつき、再びエマを見る。
「本当に無茶するんだから……」
「ごめん……」
そのとき、エマが何かを思い出したように、はっと目を見開いた。
「……あっ」
「どうしたの?」
エマは一瞬、言うか迷うように唇を噛んだあと、私を見た。
「……あの宝石、実は……もう一つ、あったの」
空気が、静かに張りつめる。
「2つセットだったの。サラに渡そうとしたけどあやしいからやめた方がいいって…でも、1つは……」
エマは申し訳なさそうに視線を落とす。
「常連さんが、すごく気に入って……
“お守りにする”って言うから、渡しちゃった」
サラの顔色が変わる。
「エマ……!」
「だって、普通の宝石だと思ってて……
まさか、こんな……」
言葉が途切れ、エマの声が震えた。
私は静かに息を吸い、落ち着いた声で聞いた。
「渡した人の名前は?」
「……ベルトルト男爵家のローズマリーさん」
胸の奥で、嫌な確信が形になる。
――やっぱり、偶然じゃない。
「いつ、渡したの?」
「3日前……」
ユウリが低く呟いた。
「まだ猶予はありそうですね」
サラはエマの手を強く握りしめた。
「エマのせいじゃない。
でも……それ、放っておけない」
私は割れた宝石の残骸を布で包み、立ち上がる。
「大丈夫。
その“もう一つ”――必ず見つける」
エマは不安そうに私を見上げた。
「……私に出来ることありますか?」
一瞬、迷った。
けれど、私は首を横に振る。
「いいえ。
無事だった。それだけでいい」
エマは少し安心したように、力を抜いた。
その様子を見届けながら、私は心の中で誓う。
「……ん……?」
伏せていた瞼がゆっくりと開く。
焦点が合うまで少し時間がかかり、それから、はっと息をのんだ。
「サラ……?」
「エマ!」
扉が開く音と同時に、駆け寄ってきたのはよく似た顔の少女だった。
髪の結び方も、表情も違うのに、並べば一目で双子だとわかる。
サラはエマの肩を掴み、顔を覗き込む。
「大丈夫!? 急に倒れたって聞いて……」
「う、うん……頭が少し、ぼうっとするけど……」
エマはゆっくりと上体を起こし、胸元に手を当てた。
そこには、もう何の違和感もない。
「……あれ?」
不思議そうに眉を寄せる。
「胸が……軽い」
私は一歩下がり、様子を見守った。
ルイも余計な口は挟まない。
サラは私に向き直り、深く頭を下げた。
「ありがとうございます。
エマを助けてくれたって……」
「命に別状はないよ。少し休めば大丈夫」
サラはほっと息をつき、再びエマを見る。
「本当に無茶するんだから……」
「ごめん……」
そのとき、エマが何かを思い出したように、はっと目を見開いた。
「……あっ」
「どうしたの?」
エマは一瞬、言うか迷うように唇を噛んだあと、私を見た。
「……あの宝石、実は……もう一つ、あったの」
空気が、静かに張りつめる。
「2つセットだったの。サラに渡そうとしたけどあやしいからやめた方がいいって…でも、1つは……」
エマは申し訳なさそうに視線を落とす。
「常連さんが、すごく気に入って……
“お守りにする”って言うから、渡しちゃった」
サラの顔色が変わる。
「エマ……!」
「だって、普通の宝石だと思ってて……
まさか、こんな……」
言葉が途切れ、エマの声が震えた。
私は静かに息を吸い、落ち着いた声で聞いた。
「渡した人の名前は?」
「……ベルトルト男爵家のローズマリーさん」
胸の奥で、嫌な確信が形になる。
――やっぱり、偶然じゃない。
「いつ、渡したの?」
「3日前……」
ユウリが低く呟いた。
「まだ猶予はありそうですね」
サラはエマの手を強く握りしめた。
「エマのせいじゃない。
でも……それ、放っておけない」
私は割れた宝石の残骸を布で包み、立ち上がる。
「大丈夫。
その“もう一つ”――必ず見つける」
エマは不安そうに私を見上げた。
「……私に出来ることありますか?」
一瞬、迷った。
けれど、私は首を横に振る。
「いいえ。
無事だった。それだけでいい」
エマは少し安心したように、力を抜いた。
その様子を見届けながら、私は心の中で誓う。