夜明けが世界を染めるころ
喉が、わずかに震える。

その想いに触れた共鳴は、
もはや刃ではいられなかった。

旋律が変わる。

炎は熱を失い、
雷はまばゆい光へとほどけ、
氷は冷たさを失って澄んだ水となる。

破壊のための力が、
受容の光へと転じていく。

「……もう、いいよ」

私の声は、命令ではなかった。

赦しでもない。

ただ、終わらせるための言葉。

蒼を核とした光が、
砕けた魔核の残滓を包み込む。

黒は洗い流され、
歪みは解かれ、
嫉妬と憎しみだけが、静かにほどけていく。

最後に浮かび上がったのは――
人の姿のガイルだった。

角もなく、
歪みもなく。

ただ疲れきった表情で、
それでもどこか安らいだ顔。

彼は、光の中で
静かに目を閉じる。

蒼の粒子が、風に乗り、空へ昇る。

それは消滅ではなく、
浄化という名の帰還だった。

共鳴は、完全に静まった。

戦場に残ったのは、
夜明け前の、やわらかな風だけ。

そして私は理解する。

共鳴とは、
敵を打ち砕く力ではない。

――歪んだ想いを、本来あるべき場所へ還す力なのだと。
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