夜明けが世界を染めるころ
蒼の光が、完全に空へ溶けた。
共鳴の旋律は消え、
戦場にはただ、風の音だけが残る。
誰も、すぐには動けなかった。
長すぎた戦いが、
あまりにも静かに終わってしまったから。
その沈黙を破ったのは――
ひとつの声だった。
「……叔父上」
ディランが、砕けた魔核のあった場所を見つめていた。
そこにはもう、何もない。
憎しみも、怪物も、名さえも。
それでも彼は、確かにそこに向かって、
もう一度名を呼ぶ。
「……ガイル叔父上」
震える声だった。
王としてではない。
剣を持つ者としてでもない。
ただ、
血を分けた甥としての声だった。
返事はない。
だが、微かな風が吹き、
彼の外套の端を揺らした。
まるで――
それで十分だと言うかのように。
ディランはゆっくりと片膝をつき、
静かに頭を下げる。
誰に見せるでもない、
ただ一人のための弔いだった。
⸻
そのとき。
東の空が、わずかに白み始めた。
夜の帳がほどけ、
長く戦場を覆っていた雲が裂ける。
一筋の光が差し込み、
砕けた大地を、優しく照らした。
炎は消え、
焦げた匂いも薄れていく。
夜明けだった。
終わりを告げる光が、
確かにそこにあった。
誰かが、息を吐く。
「……終わったんだな」
その言葉に、
ようやく全員が現実を受け入れる。
剣を下ろす音。
魔力が霧散する気配。
戦いは、確かに終わっていた。
私は、朝焼けの中で剣を見下ろす。
ラピスラズリの輝きは静まり、
宝石はただの蒼へと戻っていた。
もう、応える声はない。
それでも、温もりだけが残っていた。
――共に在った証として。
ディランが立ち上がり、
隣へ歩み寄る。
「……ありがとう」
それは王の言葉ではなかった。
ただの、
一人の青年の声だった。
朝日が昇る。
紫色とピンク、赤、オレンジ
やわらかな光が皆を包む。
夜は終わった。
憎しみも、狂気も、野望も。
すべてを越えて――
新しい一日が、静かに始まろうとしていた。
戦場には、もはや剣の音はない。
残っていたのは、
生き延びた者たちと、
選び続ける未来だけだった。
共鳴の旋律は消え、
戦場にはただ、風の音だけが残る。
誰も、すぐには動けなかった。
長すぎた戦いが、
あまりにも静かに終わってしまったから。
その沈黙を破ったのは――
ひとつの声だった。
「……叔父上」
ディランが、砕けた魔核のあった場所を見つめていた。
そこにはもう、何もない。
憎しみも、怪物も、名さえも。
それでも彼は、確かにそこに向かって、
もう一度名を呼ぶ。
「……ガイル叔父上」
震える声だった。
王としてではない。
剣を持つ者としてでもない。
ただ、
血を分けた甥としての声だった。
返事はない。
だが、微かな風が吹き、
彼の外套の端を揺らした。
まるで――
それで十分だと言うかのように。
ディランはゆっくりと片膝をつき、
静かに頭を下げる。
誰に見せるでもない、
ただ一人のための弔いだった。
⸻
そのとき。
東の空が、わずかに白み始めた。
夜の帳がほどけ、
長く戦場を覆っていた雲が裂ける。
一筋の光が差し込み、
砕けた大地を、優しく照らした。
炎は消え、
焦げた匂いも薄れていく。
夜明けだった。
終わりを告げる光が、
確かにそこにあった。
誰かが、息を吐く。
「……終わったんだな」
その言葉に、
ようやく全員が現実を受け入れる。
剣を下ろす音。
魔力が霧散する気配。
戦いは、確かに終わっていた。
私は、朝焼けの中で剣を見下ろす。
ラピスラズリの輝きは静まり、
宝石はただの蒼へと戻っていた。
もう、応える声はない。
それでも、温もりだけが残っていた。
――共に在った証として。
ディランが立ち上がり、
隣へ歩み寄る。
「……ありがとう」
それは王の言葉ではなかった。
ただの、
一人の青年の声だった。
朝日が昇る。
紫色とピンク、赤、オレンジ
やわらかな光が皆を包む。
夜は終わった。
憎しみも、狂気も、野望も。
すべてを越えて――
新しい一日が、静かに始まろうとしていた。
戦場には、もはや剣の音はない。
残っていたのは、
生き延びた者たちと、
選び続ける未来だけだった。