夜明けが世界を染めるころ

「そういえば…古書店の亭主が少し気になることを言っていました」

ユウリが思い出したように口を開く。

「気になること?」

「ある客が話していたそうです。その宝石を身につけるとすごく気分がよくなるとそしてその競売があると仄めかしていたそうです。ただその客も酔っ払っていたようで信憑性があるかはわからないとのことです」

「ほんと?」

気分が良くなる宝石ということは…ローブの男が関わっているかも。
抑えられればだいぶ大きな一歩になる。

「ええ、もう少し調べてみます。また報告します」

「お願い、ユウリ」


「ところで、ディラン殿下を見かけたのですが会ったりしてませんよね?」

セナが口を開く。
私が視線をそろりと外しユウリも咳払いをする。

「会いましたね」

セナがため息をつきながら続ける。

「まさか調べていることバレてませんよね?」

ジロリと見つめられたじろぎながら、両手をあげ降参ポーズをする。

「バレそうになったから、自白した」


「え!?言ってしまったんですか」

セナが驚いたような顔をする。


「だって…あの殿下だよ?隠そうとすればするほど墓穴ほりそうで。あーでもお父様に釘刺されたばかりなのに報告されたらどうしょう…」

冷静に考えると非常にまずいのでは?

「そこまで心配しなくても大丈夫だと思いますよ。殿下はお嬢様のこと大変気に入っている様子ですから」

涼しげな顔で話すユウリに

「確かに…お嬢様気に入られてますよね」

セナも同調する。

「へっ!?」
素っ頓狂な声をあげてしまった。

「気づきませんでしたか?ディラン殿下は昔からお嬢様のことよく見てましたよ」


「全然知らなかった。なんで見張られてるのよ、怖すぎる」

なんか寒気してきたな。自分の腕をさする。
あの腹黒王子は何を考えているのやら。

「見張られてるって…
あ、そういえば言ってませんでしたが私がお嬢様によく珍しい本とか届けていたでしょう?」

ユウリが口にする。

「あー、そうね。興味深いものばかりで今もたまに読むよ」

昔から本をよく見て勉強していたので、ユウリが見つけてきてくれた本は新鮮なものばかりで楽しく拝読していた。


「あれ、殿下からですよ」

ユウリの一言に目が点になり頭を抱える。

「お嬢様、普段聡明で仕事もできるのにたまに抜けてますよね」

ぼそっと呟いたセナを睨みつつ深いため息をつく。

ただ殿下は色々知ってそうだったな。
嫌な予感が、胸の奥を静かに締めつけた。
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