夜明けが世界を染めるころ
「何か手掛かりがありましたか?」
セナが口を開く。
「ええ、宝石が精神に作用する内容の古書が見つかったの。あと何個か気になるものがあった。
正直どこまで信用できるかはわからないけどね」
「そうですか…こちらはやはりローブの男が関わる宝石事件が何件か起きているようです。
双輝アレキサンドライト国 直系の王国騎士団も見回りを強化しているようです」
「そう…」
「王国騎士団の先鋭揃いを集めて、暴走した宝石の処理にあたっているようです」
「……先鋭揃い、ね。」
「はい。表向きは“危険物の回収”という名目ですが、
内部では精神汚染や暴走事例も確認されているそうです。
一般兵では対応できない、と判断されたのでしょう」
「宝石がそこまで……」
セナは古書に手を置き、ページの端を指で押さえる。
「この本にも似た記述があったわ。
強い感情や意思を媒介にして、宝石が持ち主を侵食する――
もし完全に支配されたら、理性は戻らないって」
「それは……王国騎士団が動くのも無理はありませんね」
ユウリも口にする。
「ええ。でも問題は――」
私は顔を上げ、静かに言った。
「“暴走した宝石”が偶然生まれているとは思えないこと。
そのローブの男が、意図的に引き金を引いている」
セナの視線が鋭くなる。
「ローブの男が宝石を流し、暴走を誘発し、その混乱の中で何か探している?あるいは…」
セナも考え込むように呟く。
「エマのこともだけど、これ以上私の大切な人達を不幸になんてさせない」
「はい」
「もちろんです」
ユウリとセナも力強く頷く。